■旭川東高3年の夏、53年ぶり北北海道大会決勝進出も甲子園出場逃した 東京六大学野球春季リーグは3日、慶大が東大1回戦に…
■旭川東高3年の夏、53年ぶり北北海道大会決勝進出も甲子園出場逃した
東京六大学野球春季リーグは3日、慶大が東大1回戦に3-0で先勝。先発の渡辺和大投手(3年)が1安打完封し、攻撃では1番を打つ今津慶介外野手(3年)の先制2号2ランが結果的に試合を決めた。
一撃で均衡を破った。0-0で迎えた5回、2死二塁で左打席に入った今津はカウント1-0から、東大のサブマリン・渡辺向輝投手(4年)が内角低めに投じたスライダーをすくい上げた。打球は右翼フェンスを越えていく。値千金の1発に、背番号「39」のヒーローは「球種は絞らず、自分の体に近いところに甘く入ってきたら強いスイングをかけようと思っていました。意外に打球が伸びてくれて、よかったです」と相好を崩した。
今津は北海道・旭川東高3年の夏、1番打者としてチームの53年ぶりの北北海道大会決勝進出に貢献したが、旭川大高に1-7で敗れた。旭川東高といえば、戦前、戦後を通じNPB歴代6位の通算303勝を挙げた故ビクトル・スタルヒン氏の母校(当時の名称は旧姓・旭川中学)として知られるが、夏の地方大会決勝に11度も駒を進めながら全敗し、いまだ1度も甲子園の土を踏めていない。悲願成就をアシストしようと、今津の卒業後の2023年11月、イチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が指導に訪れたことでも話題になった。
今津は北北海道大会決勝に敗れた後、慶大の夏恒例の旭川キャンプに参加し、存在をアピールしたことがきっかけとなって、AO入試で総合政策学部合格を果たした。旭川がつないだ縁である。ちなみに今津の父・寛介氏は現職の旭川市長で、古豪・旭川龍谷高時代には硬式野球部で一塁手としてプレーしていたという。
今季開幕前の段階で、今津のリーグ戦経験は昨春の2試合のみ(代打1試合、2番スタメン)だったが、オープン戦で成長のあとを見せ1番に定着。4月14日の立大2回戦ではリーグ戦初本塁打を放った。
メンバー表には「両打ち」と記載されており、「野球を始めた頃は右打ち、小6から高3まで両打ちでした」と言うが、今季は好調な左打ちに専念している。岩手・花巻東高出身の小原大和外野手(3年)と組む“新1・2番コンビ”は、新チームを牽引すると期待されているところだ。

■守っては先発の渡辺和が5回1死までパーフェクト、7回2死まで無安打の快投
慶大はこの日、守っては先発投手の渡辺和が5回1死まではパーフェクト、7回2死まで無安打無失点に抑える快投。3-0とリードして迎えた9回には2四球、暴投などで2死二、三塁のピンチを招いたが、結局9回1安打14奪三振3四球の無失点で投げ切った。堀井哲也監督は「渡辺がしっかり抑え、今津が欲しい時にホームランで点を取ってくれた。スコアカード通りの試合でした」と目を細めた。
堀井監督が就任した2020年以降、優勝3回、2位3回、3位3回と安定感を誇ってきたが、昨秋は初めてBクラス(5位)に沈んだ。昨秋3本塁打を放った清原正吾氏をはじめ昨年の4年生も引退し、チーム再建の途上にある。「僕が出塁することで、気迫をベンチに伝えたい。1番打者にしかできない仕事だと思っています」と胸を張る今津が、その先頭に立っている。
(Full-Count 宮脇広久)