◇LIVゴルフリーグ◇コリア 初日(2日)◇ジャック・ニクラスGC (韓国)◇7354yd(パー72)前週のシーズン6…

LIVメンバーのツアーバッジを手に

◇LIVゴルフリーグ◇コリア 初日(2日)◇ジャック・ニクラスGC (韓国)◇7354yd(パー72)

前週のシーズン6戦目「LIVメキシコシティ」で今季初出場を果たした香妻陣一朗は、思っているより腰の状態が悪くなかったことに胸をなでおろしていた。昨年12月のトレーニング中に痛め、まともに歩けない状態が続いた頃は「今シーズンは無理じゃないか」と思ったことすらあった。球が打てるようになったのは3月下旬。ここまで長くクラブを握れなかったことは、プロになって初めてだった。

「もう焦りしかなかったですよね。球も打っちゃいけないし、復帰の目途も経たないので調整も難しかった。そもそもLIVは試合数が少ないし、今回メキシコに出られなかったら(次戦の)ワシントンからという話もあって。そうなるともう6月ですよ。シーズンは半分以上終わってしまっている」。試合結果のニュースを見るたびに不安は募るばかりだった。

18番でバーディ

LIVは公傷制度がなく、試合に出られない選手には何の保証もない。賞金は高く、ホスピタリティも充実し、豪華で華々しいフィールドだが、現実はやはり厳しい勝負の世界。香妻の“枠が空く”のを現地で待ち構えている選手は常にいる。「徐々に回復はしていたから、もっと前に出たい気持ちはあったけど、なかなかチームドクターからOKが出なくて。サウジアラビア(開幕戦)や香港(第3戦)は現地にも行ったんですが、試合開始前の練習でちょっと無理して、また動けないくらい 痛みが出ちゃって。 痛み止め飲んでもダメだったんです」

それでも保存療法がうまくいき、復帰の目安だった腰回りの筋肉量も増え、4月に入ってから「100%でクラブが振れる日が増えました」と言い、メキシコでの復帰が見えてきた。「アメリカのオーランドにいるチームドクターの所に行って、体の動きを見てもらい、筋肉量を測ってもらって『これならいける』となりました」

復帰戦のメキシコは最終日に「65」を出して、21位に入る堂々の活躍。わずかだが、来季出場権へのポイントを積み上げた。「復帰までは15ラウンドぐらいしかしていなかったので、正直不安しかなかったですが、ポイントを稼げてとりあえずホッとしました。(腰痛は)いずれ出てきたことだと思うので、逆に30歳ぐらいのタイミングで体験できて良かったかもしれません。体のことを考えるきっかけになりましたから」。そうポジティブにとらえていたとはいえ、ひとまず結果を出せた安堵感は大きい。

腰痛でスイングが良くなった

新ドライバーは高確率でフェアウェイキープ

「まさにケガの功名ですかね。陣(香妻)はめちゃくちゃスイング良くなっている」と話すのは、香妻のコーチ、森守洋氏。復帰した香妻のために、急遽韓国入りしてスイングの調整をはかった。「腰に負担のないスイングをしようと2人で話し合いました。下の動きをいい意味で抑え、ある程度上の動きを生かすようにしています。結果的に、陣の悪い癖だった右足が前に出る動きが減っています」と見たてた。

韓国での初日はドライバーで14回中13回、フェアウェイをキープ。飛距離も平均313.5ydと出ていた。香妻は「トレーニングできてないんで(飛距離が)落ちているかなと思っていたんですけど、そうでもなかった。ここのフィールドを考えると、やっぱり距離が出るのは大きいですよね」と安心感を得た。

コントロールショットも冴えわたり、難しいピン位置、さらに風が吹く中でバーディチャンスを多く作った。森コーチは「スリークォーターでしっかり左に振れているのはスイングが良くなった証拠。昨年まであのショットは打てなかった」と賛辞を送る。スコアは4バーディノーボギーの「68」。メキシコの最終日からいい流れは続き、5位タイの好位置でスタートを切った。

やっと始まった2年目のシーズン。目指すところは?

今年もアイアンヘッズ一員として戦う

個人戦のシーズン13試合中6試合が終わり、残り7試合。香妻は試合前から自身の置かれた状況を冷静に分析していた。「上がすごく飛び抜けていて、下のほうはダンゴ状態。上下がすごく分かれています。成績を出してちょっと抜けたら、上に行けそうな感じはあるんですよね。昨年悪かったフィル(・ミケルソン)とかハロルド(・バーナーIII)とか、ことしめっちゃ良くて、トップ選手たちでもそういうことあるんだなと思うとちょっと安心します」

昨年一年間、LIVで戦った経験はプラスになっている。「気持ち的にめっちゃ楽っすよ。最初に来た時と全然違う。コースにも慣れましたし、フィールドも誰と回っても動じない。その心境変化は大きいっすよね」。15年に「プレジデンツカップ」を開催したジャック・ニクラス設計の難コース、そして強豪ぞろいのフィールドで初日に見せたパフォーマンスが全てを物語る。

「最初の何試合か大事だなと思っていたんで、とりあえず先週ポイントを取れて良かったです。今週もいい流れがつかめれば、ここから先もいけるんじゃないかって。明日も風が吹くかもしれないですけど、しっかり考えてプレーしていきたい。今の調子だったらいい感じに上にいけるんじゃないかなと思います」

LIV2年目の香妻が前半戦の遅れを取り戻すべく、週末に虎視眈々と上位を狙う。(韓国・仁川/服部謙二郎)