■4打数無安打だった榊原が起死回生の同点二塁打「いい雰囲気あった」と戸塚監督 土壇場でお家芸の粘り腰を披露した。戸塚俊美…

■4打数無安打だった榊原が起死回生の同点二塁打「いい雰囲気あった」と戸塚監督

 土壇場でお家芸の粘り腰を披露した。戸塚俊美新監督の下で4季ぶりのV奪回を目指す明大は26日、東京六大学野球春季リーグの慶大1回戦に逆転サヨナラで先勝。1点ビハインドの9回2死一塁の局面から、“新1・2番コンビ”の長短打で一気に試合をひっくり返した。

 1-2とリードされて迎えた9回の攻撃。明大は先頭の友納周哉内野手(3年)が遊撃内野安打で出塁するも、続く磯圭太内野手(2年)が送りバントをファウルにした挙句、空振り三振。代打の若狭遼之助外野手(3年)も捕邪飛に倒れて2死となり、崖っぷちに追い込まれた。

 敗戦まであと1死。ここで左打席に入った1番打者・榊原七斗外野手(3年)は、前打席まで4打数無安打だった。それでも戸塚監督は「練習試合でも、ここぞという場面できっちり結果を出してきた選手。4〜5打席に1本は必ずいいところで打ってくれると信じていました。非常にいい雰囲気があると感じていました」と信頼を置いていたという。

 期待通り、榊原は慶大2番手の左腕・荒井駿也投手(4年)が渾身の力を込めて投じた外角高めのストレートをとらえる。打球は中堅フェンスを直撃。一塁走者が同点のホームを駆け抜け、榊原も三塁に到達。一塁側ベンチの明大ナインはお祭り騒ぎとなった。

 1度つかんだ流れは離さない。慶大は守護神の広池浩成投手(4年)にスイッチしたが、左打席に入った2番打者・田上夏衣外野手(2年)は「自分が決めるつもりでした。(広池が)ストレートの強い投手ということはわかっていたので、狙いを絞っていきました」と迷いがなかった。カウント1-0から真ん中高めの速球を振り抜くと、痛烈なゴロが一、二塁間を抜けていき、田上は「サヨナラ打は人生初です」と口元を綻ばせた。

 歓喜のナインの中で、涙が止まらなかったのが先発の毛利海大投手(4年)だ。プロも注目する最速150キロ左腕は、6イニングを初回の2ランによる2失点のみに抑えてマウンドを降りていた。味方がなかなか追いつけない中、降板後もベンチからひと際大きい声でナインを鼓舞し続けた。サヨナラ打の田上は「毛利さんはいいピッチングをされていたのに、自分たちが援護できず、その中でも『勝とう、勝とう』とプラスの言葉をかけ続けてくださっていた。なんとしても期待に応えたいと思っていました」と胸をなでおろした。

9回裏に同点タイムリーを放った明大•榊原七斗【写真:加治屋友輝】

■2020年から5年間指揮を執り3連覇を達成した田中前監督が昨季限りで退任

 明大は2020年から5年間指揮を執り、2022年春から3季連続優勝、その後も2023年秋から3季連続2位と安定した成績を残してきた田中武宏前監督が昨季限りで退任。助監督として支えてきた戸塚監督が現職に昇格した。劇的な逆転サヨナラで開幕3連勝を飾った新指揮官は「常日頃の練習から『粘り強く』をキーワードにやっています。バント失敗などミスもありましたが、みんなでカバーして粘った結果だと思います」と満足げにうなずいた。

 顔ぶれが変わったのは、1・2番コンビも同じ。昨年は当時4年生で快足を誇った1番・直井宏路外野手(現NTT東日本)、2番・飯森太慈外野手(現東京ガス)がダイヤモンドを駆け回っていたが、榊原と田上は俊足に加え、1発長打も秘めているのが特長である。

 また、明大は昨年まで15年連続でドラフト指名選手を輩出し、最長記録を更新。今年の4年生にも毛利、3番を担う“強打の捕手”小島大河ら上位候補を抱えている。それだけになおさら、下級生の榊原、田上らがいかに脇役として機能し主軸へ回すかが、戦術上、重要になる。

「1・2番はいい形でなじんできているのかなと思います」と戸塚監督。昨年春秋連覇を達成した早大の打倒を掲げる新生明大は、上々のスタートを切ったようだ。