3月の中学軟式野球全国大会で4強神奈川・相陽クラブが実践する練習の工夫 飽きさせず、楽しみながらスキルアップを目指す、中…

3月の中学軟式野球全国大会で4強…神奈川・相陽クラブが実践する練習の工夫

 飽きさせず、楽しみながらスキルアップを目指す、中学軟式野球チームがいる。今春の「文部科学大臣杯 第16回全日本少年春季軟式野球大会ENEOSトーナメント」でベスト4に入った神奈川の「相陽クラブ」は、短時間の練習でも工夫を凝らし、子どもたちの成長を促している。Full-Countでは野球などのスポーツ界で活躍する指導者・トレーナーに子どもの「運動神経向上」をテーマに取材。チームを率いる内藤博洋監督に、現代の中学生の性格や環境に合わせた、野球が上達する練習の工夫について聞いた。

 相陽クラブは2023年7月まで相模原市立相陽中の野球部として活動していたが、同年8月にクラブに移行した。部活動時代を含め全国大会の常連で、今夏は悲願の日本一を本気で狙っている。内藤監督は「日本一野球を楽しむ子が、日本一を獲る」をテーマに掲げて指導を行う。

「私たちが学生の頃は、どちらかというと勝つためだけの野球だったかもしれません。野球を始めた本来の目的を忘れた子どもたちが多いのではないかと考えるようになった。難しいことは百も承知ですが、この子たちが日本一を獲れれば、もっと野球界は変化できるかもしれない。だから、私は本気で日本一を獲りに行っています」

 部活動から地域クラブ化されたことでメリットは増えたが、平日の練習時間は約2時間と限られている。メンバーは様々な地区から集まるだけに、全員がそろって練習できる機会も少ない。だが、そんな状況でも選手たちの成長スピードが落ちることはない。内藤監督が大事にしているのは、野球に繋がる「リズムとテンポ」だという。

「自ら進んで好きにさせていく練習をやるのも必要」

 限られた時間のなかで、質の高い練習を行うために取り入れているのが“ノックアップ”だ。「ノックを(ウオーミング)アップする気持ちで。気持ちもアップさせる」と、いう独自の練習法。三塁など1か所に集まり、打球に対して足を使いながら捕球していく。その際に「よーい、どん」「はい! はい!」などの声掛けも入れ、打球への対応をリズムで覚え込ませていく。後ろで待つ選手も、全員でリズムを取りながら体を動かし続ける。

「理想は気づいたら体が動いていることですね。守備を含めて対象者だけでなく、待っている時間も体を動かす。リズムは個々で違ってくるので、自分のなかでタイミングを合わせて体に染み込ませてほしい。昔に比べ『粘り強く歯を食いしばって』という子どもは少ない。つらい、しんどいを耐えることが美学でしたが、もうその時代ではない。自ら進んで、好きにさせていく練習をやるのも必要だと感じています」

 日々の練習を“流れ作業”にさせないことも指導者の役目。打撃、守備、走塁も1球1球に意味があり、積み重ねた数だけ成長に繋がっていく。近年はエンジョイベースボールを「楽しむ=楽する」と誤解されがちだが、相陽クラブは本気で野球を「愉しむ」集団を目指しているという。

 内藤監督は21日から開催される、野球の技術向上に不可欠な「運動神経」にフォーカスしたイベント「運動神経向上LIVE」に出演予定。子どもたちのやる気、行動力を上げスキルアップに繋げていく指導法を明かしてくれる。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)