サッカーU-17日本代表が、年代別ワールドカップの出場権を手に入れた。だが、手放しで喜べることではないと、サッカージャ…

 サッカーU-17日本代表が、年代別ワールドカップの出場権を手に入れた。だが、手放しで喜べることではないと、サッカージャーナリスト後藤健生は言う。A代表以外、年代別の日本代表がアジアで苦戦しているのには、若い世代の日本代表に共通する、ある「問題」があるという!

■「ダブって見えた」戦い方

「2点目が取れない病」は、準々決勝でも続き、やはり10分たたないうちにPKで先制点を奪ったものの、相手のスピードについていけずに2失点。

 相手のスピードに慣れた後半はボールを握り続け、攻撃を繰り返したものの、抜け出した浅田大翔の巧みなシュートで同点とするのが精一杯だった。

 どうして、あれだけの選手がそろって、あれだけボールを握っていながら「2点目」が取れないのだろうか?

 もちろん、サッカーというのは得点が入りにくい競技である。どんなに合理的に攻撃を組み立てて、正確にプレーしても、運が悪かったり、相手GKが当たっていれば得点できないということはよくあることだ。

 だが、今回のU-17日本代表の場合は、「結果として得点できなかった」というよりも、チャンスの回数が少なすぎたのが原因だったように感じる。

「選手の質は高いのに、戦い方がつたなく、せっかくのポゼッションを得点につなげられない」。

 そんな配信映像を見ながら、僕は既視感に襲われていた。

 2月に中国の深センで行われたU-20アジアカップでの日本チームの戦い方とダブって見えたのだ。U-20の大会は、僕も現地に赴いて観戦したので、そんなもどかしさを体感していた。それだけに、映像を見ながら、そのときの記憶が鮮明に蘇ってきたのだ。

■日本が「アジアで消える」日

 U-20の大会でも、日本は初戦でタイに3対0で勝利して順調なスタートを切ったが、2試合目ではシリアと点の取り合いとなって2対2の引き分けに終わり、グループリーグ突破を懸けた韓国戦では内容的には韓国を圧倒し、前半のうちに神田奏真のゴールで先制しながら、2点目が取れないでいると、後半のアディショナルタイムに同点とされてしまった。

 そして、ワールドカップ出場権がかかった準々決勝でも、イランに対して優勢に試合を進めながら1対1の引き分けに終わり、PK戦で勝利してなんとかベスト4とワールドカップ出場権を獲得したものの、準決勝ではオーストラリアに完敗で終わってしまう。

 日本はこの大会では5試合を戦って1勝3分1敗の成績。やはり、ワールドカップ出場権を獲得できたことは幸運だったと言わざるを得なかった。

 2つのカテゴリーのアジアカップで、同じような現象が連続して起こったのである。

 とすれば、これは偶然ではあるまい。たまたまのチーム事情によるものでもない。何か共通した原因があると考えるべきであろう。

 その辺りを、真剣に考えておかないと、いずれ、日本がアジアカップで敗れて年代別ワールドカップ出場権を逃がす事態を招いてしまう。ヨーロッパや南米、アフリカの強豪国の同年代の代表と真剣勝負の場で戦うことができる年代別ワールドカップというのは、日本のサッカーの将来にとって重要なもののはず。

 アジアカップで勝ち切るための方策を今のうちに考えておくべきだろう。

■何が「足りなかった」のか?

 さて、戦い方として、何が足りなかったのか?

 ひとつは、攻撃の迫力だ。日本の選手たちは正確にボールをつないで攻撃の形を作ることができた。だが、正確につなぐことを優先しすぎて、無理をしようとしなかった。

 さすがに、準々決勝で相手にリードされて迎えたサウジアラビア戦の後半は、なんとか1点を奪おうと迫力のある攻撃を仕掛けたが、それ以外の試合では仕掛けがあまりにも消極的すぎた。

 縦にボールを入れればチャンスになる可能性がある場面でも、ちょっと相手に寄せられると安全にボールを横に、あるいは後ろに動かしてしまう。

 もちろん、相手にカットされる危険があるときにプレーをキャンセルする冷静な判断力も必要だが、無理をすべきときは無理をしなければいけない。「冷静さ」が、時として「臆病さ」になってしまうのだ。

 早々に1点を取ってリードすると(今大会ではそういう展開が多かった)、とたんに無理をしなくなってしまう。だが、サッカーでは「1点のリード」というのは、けっして安全圏ではない。なぜなら、サッカーと言うのは得点が入りにくい競技ではあるが、同時に偶然の失点が生まれやすい競技でもあるからだ。危険なエリアでのミスや不運でボールを運ばれたり、シュートがDFに当たってコースが変わって決まってしまうこともある。

 日本と対戦するときには、アジアの相手国は一発のロングボールやスピードを生かしたカウンターを狙ってくるのだ。

 だから、1点を先制したら、できるだけ早く2点目がほしいのだ。

 だから、リードしている局面でも「安全第一」ではなく、アグレッシブに2点目を取りにいく姿勢がほしいのだ。日本人選手のクオリティーを考えれば、取りに行けば必ず2点目が取れるはずだ。

 勇気を持って、無理をしてでも2点目を奪いに行く……。指導陣には選手たちにそういうメンタリティーを植え付けてほしいものだ。

いま一番読まれている記事を読む