スコッティ・シェフラーの足は、彼のスイングについて語られる際にしばしば注目される。シューズは個性的なフットワークのため独特の要件を満たさねばならず、完璧にフィットさせるためのイノベーションが必要になる。ナイキのチームはシェフラーのフットワ…

スコッティ・シェフラーの独特なフットワーク(提供ナイキゴルフ)

スコッティ・シェフラーの足は、彼のスイングについて語られる際にしばしば注目される。シューズは個性的なフットワークのため独特の要件を満たさねばならず、完璧にフィットさせるためのイノベーションが必要になる。

ナイキのチームはシェフラーのフットワークに着目し、それを進むべき指針として新しいナイキ「ビクトリープロ4 ゴルフシューズ」を生み出した。シェフラーのフィードバックを設計過程のガイドラインにして、彼の仕様とニーズに合致したものを作った。世界最高のゴルファーが最高のパフォーマンスを発揮できることに重点を置き、サポート、安定性、快適性に特化した画期的なイノベーションの産物だ。

ナイキでメンズのスポーツ及びトレーニング用フットウェア部門を統括するマット・プラム氏は、キャリアの大半をナイキ契約ゴルファーとの仕事に費やし、シェフラーとは10年以上も仕事をしてきた。最新シューズについて最初にシェフラーと会話した際、プラム氏は有名な「スコッティ シャッフル」をサポートする上で、どのようにシューズを作り上げるべきかを尋ねた。2年にわたるイノベーション、会話、テストを経て出来上がった最終結果にプラム氏はとても満足している。

ナイキがシェフラーと開発した「ビクトリープロ4」(提供ナイキゴルフ)

「スコッティに、より高性能なフットウェアを作る上で、自身の見解を共有することに興味がないかどうか尋ねたら、その話に飛びついてきました。我々がアスリートと仕事をすることのクールな点は、両者の学びの場になること。私たちはアスリートがフットウェアを用具の一つとしてどう見ているか学べますし、同時に、我々がどのようにより良いものを作れるか、アスリートを教育することもできます」

「側部の安定性がゴルファーにスピードとより速いターンを生み出す能力を授けることは承知していました。ナイキ ビクトリー4プロを試したスコッティは、フライウイングが支えになって、より速くターンする自信を植え付けられたように感じたと述べました」

続けてプラム氏は「スコッティのフットワークは信じられないほど個性的ですが、それが最高の選手にもしています。バックスイングは他のPGAツアーの選手たちと同じように見えますが、蹴り出してあのスピードを生み出そうとすると、フットワークは個性的になります。従って、適切なレベルの安定性を保ち、右足の動きと蹴り出しに必要なレベルの自由度を与えることが重要でした」と加えた。

ビクトリープロ4のプロトタイプ(提供ナイキゴルフ)

続いてプラム氏は、テキサスにあるシェフラーのホームクラブで、シェフラーと初めてビクトリー4プロのプロトタイプのテストを開始した際のことを笑顔で回想した。最初の返答は「これじゃない」というシンプルなものだった。そこで、プラム氏とチームはハサミを取り出すという、最も単純な作業に取り掛かった。プロトタイプから、シェフラーが安定感が強すぎると感じた部分を切り取り、シェフラーも靴のサポート力を高めてほしい箇所を指差すことで作業をアシストした。

「私たちは練習レンジの後ろで、靴のパーツを細かく切り始めました。スコッティが“この場所にもっとサポートが必要だ”と言ったとき、かなり明確な視点にたどり着きました」

その結果、生み出されたのが、つま先の付け根付近に配置された独自のフライウイングだった。また、トラクションとサポート力を高めるべく、ナイキはシェフラーの床反力計データを活用し、靴裏に配されるべき正確なスパイクの位置を特定した。

「スコッティが爪先のど真ん中にスパイクを欲しがったことは、重要な鍵の一つとなりました。あの“スコッティ シャッフル”から考えてみると、確かにあの動きで頼りにしているのは、あの位置のスパイクであることが分かります」

とはいえ、選手が靴に求めるのはサポートだけではない。選手が毎週マラソンに匹敵する距離を歩いていることを考えると、快適性も必要だ。

「さらに彼は『僕のシューズをナイキ ヴェイパー9 テニスシューズと同じくらい快適にできない?』と言い、車の中から自分のテニスシューズを持ってきました。我々はそれを見て、それぞれの要素を観察して、実際にテニスシューズの内部構造を取り入れ、ゴルフシューズ用に転化しました。これは、快適性と安定性の要素、もちろんゴルフ特有のトラクションの要素を備えていなければなりません。それらが合わさった結果、少し古典的な見た目ですが、優れた運動性と快適性が感じられるものが出来上がったんです」

これは、ナイキがいかにアスリートのフィードバックを利用してイノベーションを推し進めているかの最新事例である。その最終結果は、世界ナンバーワンプレーヤーとその独特のニーズに特化して作られたシューズだった。それは勝利のために作られたシューズである。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)