【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬【カルドゥン】 フランス産馬。同国で走り、重賞は勝てなかったものの、エドモンブラン賞(G3・芝1600m)やパレロワイヤル賞(G3・芝14…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【カルドゥン】

 フランス産馬。同国で走り、重賞は勝てなかったものの、エドモンブラン賞(G3・芝1600m)やパレロワイヤル賞(G3・芝1400m)で2着となりました。

 種牡馬になると、このレベルの競走馬としては稀な成功を収め、メルカル(仏G1カドラン賞)、シーユースーン(米G1ラモナH)、ラクーミア(米G1ゲイムリーH)をはじめ多くの重賞勝ち馬を出しました。

 ちなみに、アメリカへ渡って活躍したシーユースーンが勝ったラモナHはステークスレコード、ラクーミアのゲイムリーHはトラックレコード。ヨーロッパ血統ながら時計の速いアメリカの芝競馬でも強さを見せました。2歳戦でも強さを発揮したように、仕上がりの早さも特長のひとつでした。カルドゥンは、その父カロのスピードや切れ味に加え、日本でも供用されたヴェンチアを母方に持つことで、レリック4×4というインブリードを持っています。レリックはアメリカでハイレベルなスピードを伝えた名血です。

 日本で供用されたチチカステナンゴは、カルドゥンの直系の孫。前出のメルカルは繁殖牝馬として秋華賞馬ファビラスラフインを産みました。輸入繁殖牝馬グレイトフィーヴァー、ヴィアンローズにもカルドゥンは含まれています。毎日杯を勝ったファンダムは前者の孫です。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「ヨーロッパとアメリカの双方でチャンピオンサイアーとなった種牡馬はいますか?」

 イギリスとアイルランドは種牡馬統計を合算しています。イギリス・アイルランドと、アメリカの双方で首位に立った種牡馬は過去3頭存在します。

 プライアム(Priam/1827年生)

 ナスルーラ(Nasrullah/1940年生)

 ノーザンダンサー(Northern Dancer/1961年生)

 最初に達成したプライアムは19世紀前半の馬。1830年に英ダービーを制覇するなど通算19戦17勝の成績を挙げ、イギリスで種牡馬入りしたあと1837年にアメリカへ。イギリス・アイルランドで1839、40年に、アメリカで1842、44〜46年にチャンピオンサイアーとなっています。イギリスで12戦全勝の成績を残した女傑クルシフィックスが代表産駒です。

 ナスルーラ(英愛1951年、米55、56、59、60、62年)とノーザンダンサー(英愛1970、77、83、84、米71年)は、言わずと知れた歴史的な大種牡馬。いずれも巨大なサイアーラインを形成して世界を席巻しました。後者はカナダとアメリカで種牡馬生活を送り、ヨーロッパに渡ることなくイギリス・アイルランドの首位種牡馬となり、その直系子孫は現代の主流ラインとなっています。

 ちなみに、フランスとアメリカの双方で首位に立った馬にはリファール(Lyphard/1969年生)がいます。フランスで1978、79年に、アメリカで86年にチャンピオンサイアーとなりました。同馬はノーザンダンサーの息子です。