サッカー日本代表が、8大会連続となるワールドカップ本大会出場を決めた。今年初の活動となる3月シリーズで、第1戦のバーレーン戦を2-0で制し、世界最速での本大会行きを決めたが、5日後のサウジアラビア戦では0-0の引き分けに終わった。2026…

 サッカー日本代表が、8大会連続となるワールドカップ本大会出場を決めた。今年初の活動となる3月シリーズで、第1戦のバーレーン戦を2-0で制し、世界最速での本大会行きを決めたが、5日後のサウジアラビア戦では0-0の引き分けに終わった。2026年の大会で優勝を目指す日本代表にとって、この2試合の意味することは何か? 今後、目標を達成するために必要なことを含め、サッカージャーナリストの大住良之と後藤健生が徹底的に語り合った!

■あれが決まっていれば「楽勝だった」

――GKやDFに良い若手が出てきたとのことですが、サウジアラビア戦でピッチの反対側、1トップに入った前田大然をどう評価しますか。第1戦で先発した上田綺世とは、タイプが違う選手ですが。

後藤「今回の激論で話すべき、一番大きなテーマかもしれないね。どちらが先発するのがいいんだろうか」

大住「サウジ戦の状況を考えると、前田はちょっとかわいそうだったよね。あれだけスペースがないならば、相手を背負ってプレーをする上田のようなタイプのほうが、チームとしても、もっとやりやすかったかもしれないよね。でも、パスを呼び込んでポストを叩いた前半の場面で、あのスペースに入り込んでシュートを打つまでの速さは、やはりすごかったね」

後藤「あれが決まっていれば楽勝だったかもしれないし、翌日の新聞の見出しは前田になったはずなのにね。アジアのチーム相手だったら、絶対に上田のほうがいいのは確か。完全に相手を背負って時間をつくることができるし、本当に効果的になれる。ただし、ヨーロッパや南米を相手にああいうプレーができるかというと、まだ疑問符は残る。そうなると、前田みたいなタイプのほうが効くかもしれないし」

大住「そうだね。相手が攻めてくれば、前田がその裏を取れる。森保一監督も言っていたけど、相手が強くなったときに、スペースへ出ていく動き、相手を追い詰める迫力を出せるからね」

■強豪国と対戦するときは「前田タイプ」

後藤「サウジ戦でも相手GKにプレッシャーをかけて、タッチラインに蹴り出させたことが3、4回はあったでしょ。世界の強豪国と対戦するときには、前田タイプのほうがいいかもしれない。まだ、どこと対戦するか分からないけど、秋の強豪との試合で試すべきテーマだね」

大住「前田を使う機会を増やすことで、コンビネーションももっと深まっていくと思う」

後藤「第1戦までずっと上田が先発していた1トップに、タイプの違う前田が入ったので、周りの選手が意識し過ぎたのかな。とにかく、いつもと違う流れになったというマイナスはあった」

大住「田中碧鎌田大地が前に入ってポストプレーをやっていたもんね」

後藤「後半の田中は面白い使い方をされていたよね。鎌田と久保建英がけっこう下がってきて、代わりに田中が前に出ていくというのをやっていた。新機軸だったね。それで打開できたわけではないけど、ひとつの工夫としてありなのかな、と思った」

大住「離脱する選手がいたので必然のメンバー変更もあったけど、もちろん、選手間の競争もあるし、新しいテストを重ねていったサウジ戦は、今後に活きてくると思うんだけどね」

■「本当にシュートがうまい」中村の使い方

――コンディション不良で欠場した三笘薫に代わって左ウィングバックに入った中村敬斗はどうでしたか。

後藤「出だしは良さそうだったけど、次第にボールは失うし、クロスも不正確になっていった。段々と落ちていっちゃったね」

大住「結局まだ、先頭に立ってチームを引っ張っていくほどではない感じだよね。後半になって多くの選手が下がったことで、自然と中村にけん引役が回ってきたら、精神のバランスがうまく取れないというか、自分で行くのか味方を使うのか、内側に入ったときにパスを出すのか自分で打つのか、そういう判断がバラバラになっちゃった」

後藤「そうだね。もっと思い切ってドリブルでどんどん仕掛ければよかったのに。PKを取るぞ、くらいの気持ちでね」

大住「ジョーカーとして出てくると、良い働きを印象があるんだけどね。右からの攻めが続いているときにいきなり左にボールが来ても、他の選手とまったく違うプレーをパッと披露する。そういうときには本当に良いアクセントになるんだよね。左サイドでの突破、ゴールラインまで切り込んでのクロスもあるけど、中村の良さはシュート力。彼に打たせるための形というのを、チームとしてつくっていかないといけないと思う」

後藤「本当にシュートがうまいからね。そうすると、ウィングバックをやらせるのはどうかな、という気もするけどね」

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