(30日、第97回選抜高校野球大会) 出場校の「主体性」を随所に感じた第97回大会だった。 春夏通じて甲子園初出場のエ…
(30日、第97回選抜高校野球大会)
出場校の「主体性」を随所に感じた第97回大会だった。
春夏通じて甲子園初出場のエナジックスポーツ(沖縄)は「ノーサイン野球」で記念すべき1勝をつかんだ。ベンチから監督のサインはない。走者と打者のアイコンタクトで、盗塁やヒットエンドランを成功させた。敗れた智弁和歌山との2回戦でも6盗塁を記録。うち2盗塁を決めたイーマン琉海は「自分たちで考えて野球ができると、楽しい」と言った。
神谷嘉宗監督は「なぜ監督が指揮するのが野球なのか。考えを変えないとだめですよね」。期待するのは、想像を超える子どもの「爆発力」だという。セオリーを教えつつ、「無視していい」と背中を押す。大舞台でも選手は生き生きとプレーしていた。
21世紀枠で初出場した横浜清陵は「自治」を掲げた。「部活動は生徒のもの」という考えのもと、練習メニューは選手が監督に提案。「食事」「環境」など複数グループに分かれて、部内の課題に取り組んできた。一体感が増したチームは昨秋、激戦の神奈川県大会で8強入り。広島商に敗れた今大会1回戦でも、突破口を探ろうとイニング間に選手同士が意見を出し合う姿があった。
高校スポーツには「指導者の言うことが絶対」という雰囲気が少なからずある。高校生は未熟な部分が多く、時に大人が道を示すことも必要だ。ただ、何もかも上から指示し、選手がそれに従って動くだけでは、想像を超える成長や考えは生まれないのでは、と思う。
昨年末、大リーグ・エンゼルスの菊池雄星を取材した。菊池は「夢を殺してしまう『ドリームキラー』は、必ずいる。親とか先生とか身近な人ほど、そうなる」と語った。常に大きな目標を置き、可能性を閉じ込めないことが子どもの成長につながるのだ、と。
高校生が自ら考えて動くようなチームが、もっと増えたらおもしろい。(室田賢)