「健大高崎の4番、捕手」として鮮烈な印象を残した先輩の背中を追い続けてきた。健大高崎(群馬)の4番・小堀弘晴捕手…
「健大高崎の4番、捕手」として鮮烈な印象を残した先輩の背中を追い続けてきた。健大高崎(群馬)の4番・小堀弘晴捕手(3年)は、昨年のセンバツ優勝の立役者で今春社会人野球の強豪・トヨタ自動車に進む箱山遥人選手の後を継ぎ、連覇に挑んだ。28日の準決勝で横浜(神奈川)に敗れ、目標とする先輩に並ぶことはできなかった。試合後、「勝つためだけに、みんなとつらい練習に耐えてきたのに悔しいです」と涙をこらえることができなかった。
小堀捕手は入学以来、箱山選手と一緒に練習を続けてきた。正確なキャッチングや投手の持ち味を引き出す配球。一つ一つのプレーに目を見張る日々を過ごした。「どのボールならテンポよく抑えられるのか、投手を生かせるのかを間近で見て学んだ」と振り返る。
教わったのは強肩強打で鳴らした技術面だけではない。主将として100人近い部員をまとめる統率力もあった。「本当に刺激になった。教えてもらったことが、一つ一つ自分の中に入っている」と感謝する。
1年前、優勝の瞬間は背番号20の控え捕手としてベンチにいた。最後の打者が三振に倒れると「ウォーッ」と歓声を上げてグラウンドに飛び出し、歓喜の輪に加わった。群馬県勢として初めて紫紺の優勝旗を手にした箱山選手をまぶしく見つめた。
昨夏もベンチ入りメンバーに選ばれていたが、慢性的な疲労がたまって群馬大会前に右肩が上がらなくなった。しかし、控えチームに移って山田遼太、島田大翔両投手(いずれも3年)らとのコミュニケーションが増えたことが、秋の新チーム結成以降の「土台になった」という。
エースの石垣元気、下重賢慎両投手(同)の陰に隠れていた2人だが、準々決勝の花巻東(岩手)戦では甲子園初登板。小堀捕手がリードする中、計7回を1失点に抑え、2年連続となる4強入りを決めた。憧れのマウンドで一緒に結果を出せて、「自分のこと以上にうれしかった」。
この日は4打数1安打で3三振。「完全に力負けで、投手陣を援護してあげられなかった」と唇をかんだ。
箱山選手の存在を「野球をやっている限り、目標であり続ける」と言い切る。春は敗れたが「必ず甲子園に戻り、先輩ができなかった夏の優勝を果たしたい」と誓った。【早川健人、加藤栄】