広島は25日、3日後に控えたセ・リーグ開幕に向けマツダスタジアムで全体練習を行った。新井貴浩監督(48)は開幕カードから堂林翔太内野手(33)を代打の切り札として起用する方針を明言。オープン戦でマークした19打数9安打、打率・474の好成…

 広島は25日、3日後に控えたセ・リーグ開幕に向けマツダスタジアムで全体練習を行った。新井貴浩監督(48)は開幕カードから堂林翔太内野手(33)を代打の切り札として起用する方針を明言。オープン戦でマークした19打数9安打、打率・474の好成績を評価した。選手会長はシーズンへの準備が整ったことを明かし、好調なバットでチームに貢献すると誓った。

 しびれる終盤に輝きを放つことが、新たな使命になる。チームが信頼するのは鍛え上げた力と技、そしてここまでのパフォーマンス。新井監督は堂林の開幕以降の起用について「最初は勝負どころ(の代打)で行ってもらおうと思っている」と代打の切り札としての役割を託す考えを明かした。

 1打席勝負の代打は難しさが伴うが、それに応えられるものを示してくれた。堂林はオープン戦12試合に出場して19打数9安打、打率・474、1打点。出色の存在感を見せつけた。

 指揮官は「調子の波があるけど、高いところでの小さな波。すごく内容もいい。最初は打席数が少なくなるかもしれないけど(調子を)キープしておいてもらいたいなと。期待しています」と、ここ一番で勝負強さを発揮する姿を思い描いた。

 堂林本人は「やることは変わらないし、与えられたところで仕事するだけという、シンプルな考え」とチームへの貢献を最優先にしながら戦っていく覚悟を語った。

 長丁場のペナントレースではケガ人が出るなど不測の事態に直面するケースがある。その際には「頭(スタメン)から行ってもらう場面も出てくると思う」と新井監督。一塁に加え、外野もこなせる器用さが武器でもある。あらゆる役割を全うできる貴重な存在としてチームを支えていく。

 プロ16年目となる今年は春季キャンプから若手に交じってバットを振り込み、シーズンへの土台を固めてきた。「自分と向き合う」をテーマにオフからトレーニングを重ね、それが奏功した実感がある。「自分と向き合う、というところから始まって自分でコツコツやってこられた。シーズンに入る準備はできたかなとは思っている」と力強く言い切った。

 この日は全体練習後、選手、首脳陣らがマツダスタジアム内のパーティールームで開幕前の決起集会を開いた。コロナ禍の影響もあり、実に6年ぶりの開催。各自がコミュニケーションを図って、覇権奪回への機運を高めた。

 昨季9月に味わった大失速の悔しさをバネに戦う今季。「昨年9月は、ああいう負け方をしている。そういった悔しさを1年間持ち続けてやらないといけない。それは開幕前、みんなに言おうと思っている」と堂林。その一打に全身全霊を注ぎ、3年目の新井カープを開幕ダッシュへと導く。

 ◆広島、歴代代打の切り札 1960年から74年まで広島で現役だった宮川孝雄をはじめ、西田真二、町田公二郎、浅井樹、現役晩年は代打で存在感を発揮した前田智徳、現役の松山竜平ら。宮川は代打の通算起用回数がNPB最多の778を誇り、通算安打数(187)、通算打点(118)はいずれも球団歴代最多。球団歴代通算打点は2位・浅井(93)、3位・西田(88)、4位に前田と松山(87)が並ぶ。球団最多本塁打は町田の19本(阪神時代を含めると20本)。200打席以上を対象とした通算最高打率は浅井の・315。