選抜高校野球2回戦(25日、甲子園)○智弁和歌山9―4エナジックスポーツ(沖縄)● 智弁和歌山といえば「強打」の印…

【智弁和歌山-エナジックスポーツ】二回表智弁和歌山2死二、三塁、奥が左前適時打を放つ=阪神甲子園球場で2025年3月25日、新宮巳美撮影

選抜高校野球2回戦(25日、甲子園)

○智弁和歌山9―4エナジックスポーツ(沖縄)●

 智弁和歌山といえば「強打」の印象が強いが、今年のチームは例年と違い、犠打や盗塁を絡めて手堅く攻める。象徴的だったのが一回の攻撃だ。

 1番・藤田一波が逆方向への打撃を心掛けて左前打で出塁すると、続く奥雄大が初球に送りバントを一塁線にきっちり決める。いきなり1死二塁の好機を作った。

 二塁走者の藤田は50メートル5秒9の俊足だ。加えて、エナジックスポーツの先発左腕・久高颯の癖を事前に映像で研究していたという。2年生の3番・山下晃平の2球目に「勇気と覚悟を持って勝負した」と単独スチールを試みる。余裕を持って三盗を成功させた。

 久高は「打者を抑えようといっぱいいっぱいになった」と話し、三塁へ送球できなかった捕手・山城幹大は「ノーマークだった」と振り返った。

 直後の山下の打球は、前進守備が敷かれる中での二ゴロだった。ここでも藤田は「ギャンブル気味だったが、勝負した」と果敢に本塁を狙って、先制のホームを踏んだ。「勢いのある相手の流れを止めたかった」。わずか9球で先制点をもぎ取った。

 クリーンアップを担う下級生がいることもあり、小技を駆使する。打撃練習では、バントを1球で決めることに取り組む。昨秋の公式戦は1試合平均の犠打飛が出場チーム中4位の3・86、盗塁が9位の2・14をマークした。今大会も千葉黎明との1回戦で5犠打、1盗塁を決めている。

 鮮やかな先制攻撃で勢いづいたチームは、1回戦で至学館(愛知)を完封した久高を攻略し、四回途中で降板させた。結局、2試合連続の2桁安打で6年ぶりの8強入りを果たした。リードオフマンの藤田は「このまま流れに乗っていきたい」と次戦を見据える。【武藤佳正】