■おきなわカップで持ち味発揮 3月22、23の両日に沖縄市体育館で行われた「第21回沖縄市長杯おきなわカップ2025・第3回琉…

■おきなわカップで持ち味発揮


 3月22、23の両日に沖縄市体育館で行われた「第21回沖縄市長杯おきなわカップ2025・第3回琉球ダイハツカップ」で3位に入った藤枝明誠高校(静岡県)。予選リーグでは福岡第一高校(福岡県)に64ー73で敗れたが、3・4位決定戦では柳ヶ浦高校(大分県)に71ー58で勝利し、持ち前の堅守速攻を体現する時間帯も多かった。

 福岡第一戦ではプレー強度や運動量をさらに高める必要性を突き付けられたものの、ディフェンスではアグレッシブにプレーする意識が浸透している印象だ。ただ、金本鷹コーチは「堅守と言うからにはボールマンプレッシャーを40分間持続することやスクリーンの処理など、細かいところをもっと徹底しないといけません」と課題に目を向ける。

 一方、オフェンスは「今は一人ひとりの力を伸ばす時期」と言う。大会を通して二大エースである野津洸創と渡邊聖を筆頭に、金子來樹や髙松悠季らも得点力の高さを示し、チーム作りは順調に進んでいると見ていいだろう。

■コート上での声とリバウンドで存在感


 中でも、前の代から中心選手だった野津はさらに存在感が増した。

 福岡第一戦は11得点4アシスト2スティール、柳ヶ浦戦ではチームハイの20得点に加えて4アシスト2スティールを記録。力強いドライブや3ポイントシュートだけでなく、身長192センチのサイズを生かしたオフェンスリバウンドからのゴール下シュートも目立った。

 エースとしての自覚を強めた大きな要因に、毎試合のように得点とリバウンドでダブルダブルを記録していた206センチの留学生、ボヌ ロードプリンス チノンソが抜けたことを挙げる。

「去年は自分が不調でもプリンスがリバウンドを取ってゴール下シュートを決めてくれていました。だから、どこか気楽さがあったんです。でも、今年は自分がしっかりとチームを引っ張らないといけない。メンバー的にも(全国制覇まで)行けると思っているので、強い意識で試合に臨んでいます」

 金本コーチも野津に対して常に「エースって何?」と問い続けているという。「自分一人が点を取っていればいいわけじゃない。チームのために何ができるかを考えるのがエースです」と自覚を求める。その観点から見ると、野津はコート上でチームメートと喋る機会が増えた。だからこそ、指揮官は「成長がちゃんと見える」と評価する。

 野津はスモールフォワードではあるが、留学生を除けばチーム内で高身長の一人だ。「プリンスがいなくなってリバウンドが弱くなる部分もあるので、そこも自分の役割だと思っています」と語る。自身がディフェンスリバウンドを取れば、アウトレットパスを出さずに「そのまますぐに速攻に持って行ける」と利点の大きさも感じている。

■“壁”をぶち破るために…新2年生の渡邊聖とけん引


 共にチームをけん引する新2年生の渡邊聖とのコミュニケーションも密にしている。シューターのイメージが強い渡邊だが、おきなわカップでは渡邊がポイントガードを務め、野津がシューティングガードを担う時間帯も多かった。

 大会最終日の柳ヶ浦戦後、野津は手応えを語っていた。

「自分と聖の出来がチームの勝敗に直結すると思っています。自分がダメなら聖が行って、聖がダメなら自分がやる。初日の福岡第一戦はお世辞にも良い内容ではありませんでしたが、聖とコミュニケーションを取り、だいぶ連係が良くなってきたと思っています」

 藤枝明誠は全国高等学校総合体育大会(インターハイ)とウインターカップを合わせて出場回数は計23回に上るが、優勝はない。最高成績は角野亮伍(シーホース三河)らがいた2013年の全国総体準優勝だ。近年はベスト4やベスト8が壁になっている。昨年末のウインターカップも準々決勝で瀬川琉久(千葉ジェッツ)率いる東山高校(京都府)に激戦の末、82ー83で惜敗した。

 おきなわカップでは東山との再戦は叶わなかったが、5月の能代カップではカードが組まれており、野津は「能代カップでリベンジしたいです」と闘志を燃やす。年間を通しての目標は「何がなんでも日本一」。エースを先頭に自力を高め、立ちはだかる壁をぶち破っていけるか。注目だ。

取材・文=長嶺真輝