選抜高校野球2回戦(24日、甲子園)○横浜(神奈川)8―7沖縄尚学● 互いに2桁安打の乱打戦。横浜は5投手延べ6人を費やして逃げ切った。総力戦を締めくくったのは、再登板したエース左腕・奥村頼人だった。 2点リードの八回。4番手の奥村は…

【横浜-沖縄尚学】力投する横浜の奥村頼=阪神甲子園球場で2025年3月24日、渡部直樹撮影

選抜高校野球2回戦(24日、甲子園)

○横浜(神奈川)8―7沖縄尚学●

 互いに2桁安打の乱打戦。横浜は5投手延べ6人を費やして逃げ切った。総力戦を締めくくったのは、再登板したエース左腕・奥村頼人だった。

 2点リードの八回。4番手の奥村は直球を連打されてピンチを招き、スクイズで1点差に詰め寄られた(記録は内野安打)。さらに犠打で1死二、三塁とされたところでマウンドを譲り、左翼の守備に就いた。

 5番手左腕の片山大輔は空振り三振を奪った直後に四球を出し2死満塁。絶体絶命となり、村田浩明監督はもう一度、奥村をマウンドに送り込んだ。

 「片山はピンチに強いが、(相手の3番は)奥村の球に振り遅れていると思った。片山より制球力がある奥村の直球で打たれたら仕方ない」と村田監督。奥村は、沖縄尚学の3番打者に対しボールが先行したものの、外角直球でファウルを打たせて追い込むと、最後は137キロの直球で遊ゴロに仕留めた。投じた7球は全て直球だった。

 奥村の脳裏にあったのは、昨夏の神奈川大会決勝だ。終盤にピンチを作り、交代を告げられた。チームが甲子園を逃して以降、課題だった一塁手との連係プレーや体力強化に必死に取り組み、村田監督からエースとしての信頼を勝ち取った。それだけに「もう一回マウンドに上げてもらえたのがすごくうれしくて、期待に応えたかった」と充実感を漂わせた。

 この日は、先発の速球派右腕・織田翔希が三回途中4失点で降板となったが、3番手の技巧派右腕・山脇悠陽(はるひ)が変化球を駆使した投球で流れを引き寄せた。リリーフ陣の活躍が目立ち、1点差に迫られながらも一度もリードを許さなかった。

 奥村は「いろんなタイプがいる中で、競争するのではなくそれぞれのいいところを伸ばして結果を出すことを投手陣として意識している」と胸を張る。厳しい試合を一枚岩で乗り越えた。【下河辺果歩】