◇米国男子◇バルスパー選手権 最終日(23日)◇イニスブルックリゾート&GCコパーヘッドコース(フロリダ州)◇7352yd(パー71)残りホールが少なくなる中、11番(パー5)のバーディで一度は並んだ首位の背中がじりじりと遠ざかっていく。…

◇米国男子◇バルスパー選手権 最終日(23日)◇イニスブルックリゾート&GCコパーヘッドコース(フロリダ州)◇7352yd(パー71)
残りホールが少なくなる中、11番(パー5)のバーディで一度は並んだ首位の背中がじりじりと遠ざかっていく。それでも、久常涼は決して諦めていなかった。初優勝への執念をのぞかせたのが、「スネークピット(蛇の巣穴)」と呼ばれる難所続きの上がり3ホール。最難関の16番でバーディを奪った。
ティショットを左に曲げながら、200yd近いラフからのセカンドはガードバンカーをギリギリで越え、右奥ピンの右4mについた。これを決めて通算9アンダー。ギャラリーの喝采にも表情を一切変えなかった。「すごくラッキーなところから獲れた。最後、(16番から)3つバーディ、バーディ、バーディで来たらチャンスはある」。うしろの組でビクトル・ホブラン(ノルウェー)とジャスティン・トーマスが2桁アンダーに乗せている状況。自分も伸ばし続けることしか考えていなかった。
だから、17番(パー3)は左奥ピンを果敢に攻めた。「あそこは“カツカツ”を行かなきゃいけないんです」。寄せるのが至難の業ともいえるニアサイドのガードバンカーに入れたのは、ひたすらバーディを優勝を狙った結果だ。5m近く残った返しのパーパットがカップに届かずボギー。「そこで打ち切れなかった」と受け止める。
サンデーバックナインでビッグネームと優勝争いを演じ、「楽しかったです」とも言った。通算8アンダー4位に食い込み、昨年8月「ウィンダム選手権」の3位に次ぐ好成績を残した。最終日ボギーフィニッシュだったウィンダムに比べ、寄せワンですんなりとパーを拾った最終18番の締めくくりに成長も感じる。タイトな造りのコパーヘッドコースは昨年も首位と3打差で予選を通過しており、相性の良さを感じていた舞台でしっかりと力を発揮できた手応えもにじむ。ただ、やはり悔しさが圧倒的に勝る。
「そこ(上位フィニッシュ)は見てない。勝ちにいってましたから。2桁に乗せたらチャンスがあるかなと思っていた。そこにも2打足りなかった。アップアップのゴルフだったし、ホントは(同組の)シェーン(ローリー)みたいなゴルフができればと思う。きょうのスコアは僕の方が良かったけど、内容は彼の方が全然上。自分の現状というか、出せるものは全て出せたかなと思いますけど、それ(だけ)では届かないのがこのツアーなので。もっと練習して頑張りたい」
4月17日開幕のシグニチャーイベント「RBCヘリテージ」(サウスカロライナ州ハーバータウンGL)の出場権争いという点では価値ある上位フィニッシュであることも事実。「あと2試合、ヘリテージもありますし、どっちか勝てばマスターズもある。そこを目指して頑張っていきたい」。次週からの「テキサスチルドレンズヒューストンオープン」、「バレロテキサスオープン」の2試合も上だけを見て戦う。(フロリダ州パームハーバー/亀山泰宏)