◆大相撲春場所千秋楽（２３日・エディオンアリーナ大阪） 大関・大の里（２４）＝二所ノ関＝が１２勝３敗で３度目の優勝を果たした。結びで大関・琴桜に寄り切りで勝ち、東前頭４枚目・高安（３５）＝田子ノ浦＝との優勝決定戦を制し、昇進３場所目で大関初…
◆大相撲春場所千秋楽（２３日・エディオンアリーナ大阪）
大関・大の里（２４）＝二所ノ関＝が１２勝３敗で３度目の優勝を果たした。結びで大関・琴桜に寄り切りで勝ち、東前頭４枚目・高安（３５）＝田子ノ浦＝との優勝決定戦を制し、昇進３場所目で大関初制覇を決めた。優勝３度は御嶽海と並んで現役最多。夏場所（５月１１日初日、東京・両国国技館）は綱取りに挑む。年６場所制となった１９５８年以降では、史上最速となる新入幕から所要９場所での横綱昇進を狙う。
土俵上の表彰式へ向かう花道で思わず右目を軽く左手で拭った。大の里には熱いものが込み上げたようだった。「大関になってから思うような成績が残せていなかった。３敗している時点で優勝はないと思っていたのでうれしい」とかみしめた。３場所ぶり３度目そして、大関としての初Ｖ。「親方を信じて冬は課題に取り組んできた。成果が出て良かった」と大きくうなずいた。
自身初の優勝決定戦の相手は最も慕い、過去２戦２敗の難敵・高安。師匠の二所ノ関親方（元横綱・稀勢の里）の弟弟子で、日体大時代に二所ノ関部屋への入門も勧めてくれた。得意の右を差せず相手十分の左四つとなったものの、つかんだ右上手が命綱。下手投げに体を寄せ、最後は送り出した。「最後は気持ちでやりました。気力だった」と大きく息を吐いた。
２度の屈辱がバネになった。新大関だった昨年九州場所では豊昇龍―琴桜の大関相星決戦を土俵下で見届け、「１人だけ仲間外れになったようだった。もどかしかった」。１０勝にとどまった初場所後も、横綱昇進を果たした豊昇龍のニュースを見た。「意識を変えないといけない。限られた時間で意味のある、目的のある稽古をしないといけない」と目の色が変わった。
基礎だけでなく、立ち合いの馬力を取り戻そうと、茨城の部屋では２月上旬から約１０日間で２００番近く、相撲を取る稽古に励んだ。「初日の入りから自信があった。いけるんじゃないか」と自信をつけて、３連勝でスタートした。２年前の４月に部屋へ入門。新入幕からわずか８場所で、優勝３度は現役最多に並び、師匠の２度も超えた。
５月の夏場所では史上最速の横綱昇進を狙う。新入幕から９場所目、初土俵から１３場所目と、ともに新記録への挑戦をする。師匠は新入幕から最も遅い所要７３場所で横綱に昇進（年６場所制となった１９５８年以降）しているが「おこがましい。まだまだ近づいていない」ときっぱり。「次が大事になってくる。気を引き締めてやっていく」。師匠以来、８年ぶりの日本出身横綱誕生へ。大相撲史に残る偉業へ挑戦する。（山田 豊）
◆大の里 泰輝（おおのさと・だいき）
▽本名・中村泰輝
▽生まれ２０００年６月７日、石川・津幡町生まれ
▽身長・体重 １９２センチ、１８３キロ
▽相撲歴 小１から相撲を始め、新潟・能生中、同・海洋高を経て日体大。１年で学生横綱。３、４年時には２年連続のアマチュア横綱に輝いた
▽入門後 二所ノ関部屋に入門し、２３年夏場所で幕下１０枚目格付け出しでデビュー。同秋場所で新十両。２４年初場所で、昭和以降３位タイのスピード記録となる所要４場所で新入幕。夏場所で最速となる初土俵から７場所でのＶ。秋場所後には昭和以降で最速となる所要９場所で大関昇進
▽阪神ファン 家族全員が虎党
▽好きな言葉 子どもの時からテレビドラマ「スクール☆ウォーズ」が好きで「信は力なり」
▽好きな食べ物 ウニなど魚介類。二郎系のラーメンも好き
▽好きな歌手 湘南乃風。２４年の愛知・一宮市で行われた春巡業では「純恋歌」をファンの前で歌を披露
▽得意 突き、押し、右四つ、寄り
▽家族 両親と妹
