<大相撲春場所>◇千秋楽◇23日◇エディオンアリーナ大阪大関経験者で東前頭4枚目の高安(35=田子ノ浦)の悲願は、またもかなわなかった。大の里との優勝決定戦に敗れ、西花道奥のモニターに流れるスロー映像をじっと見つめた。「やりきったので、また…

<大相撲春場所>◇千秋楽◇23日◇エディオンアリーナ大阪

大関経験者で東前頭4枚目の高安(35=田子ノ浦)の悲願は、またもかなわなかった。

大の里との優勝決定戦に敗れ、西花道奥のモニターに流れるスロー映像をじっと見つめた。「やりきったので、また来場所に向けて頑張ります」。悔しさをにじませつつ、まっすぐ前を見た。

優勝の可能性を残して千秋楽を迎えたのは今回が9回目。2度の優勝決定戦を加えると、優勝が懸かった日の千秋楽は10番すべて敗れていた。しかしこの日の本割では阿炎を破り、初めて白星。1つ目の重圧に打ち勝った。大の里と琴桜による結びの一番は支度部屋で腕を組み、目を閉じたまま取組が終わるのを持った。実況音声で大の里の勝利を確認。「よしっ」と気合を入れて立ち上がり、まわしを締め直した。

自身3度目の優勝決定戦も全力でぶつかった。それでも元大関は、現大関に屈した。「実力負けしてしまった。圧力負けして下がってしまった」。懸命に踏ん張り、渾身(こんしん)の左下手投げを打ったが不発。背後から送り出されて土俵を割った。史上2位となる初土俵から119場所目のスロー優勝を目指したが、最後に力尽きた。

35歳になって迎えた今場所は1横綱2大関をなぎ倒した。円熟した取り口で12勝を挙げ、8年ぶり3度目の技能賞を獲得。初優勝を逃した悔しさだけでなく、あらためて自信も得た。「来場所も優勝を目指したい」。高安の悲願は、すべての相撲ファンの夢だ。【奥岡幹浩】

◆高安の優勝同点・次点

<1>13年初場所 東前頭7枚目 12勝3敗 優勝=日馬富士 15戦全勝

<2>18年初場所 西大関 12勝3敗 優勝=栃ノ心 14勝1敗

<3>18年春場所 東大関 12勝3敗 優勝=鶴竜 13勝2敗

<4>18年九州場所 西大関 12勝3敗 優勝=貴景勝 13勝2敗

<5>22年春場所 東前頭7枚目 12勝3敗 優勝=若隆景 12勝3敗

<6>22年秋場所 東前頭4枚目 11勝4敗 優勝=玉鷲 13勝2敗

<7>22年九州場所 東前頭1枚目 12勝3敗 優勝=阿炎 12勝3敗

<8>24年春場所 西前頭8枚目 11勝4敗 優勝=尊富士 13勝2敗

<9>25年春場所 東前頭4枚目 12勝3敗 優勝=大の里 12勝3敗