チアリーディング部コーチが振り付け「これが滋賀学園のスタイル」“キレキレダンス”と呼ばれ、いまや甲子園の風物詩となったようだ。第97回選抜高校野球大会で22日に登場した滋賀学園の応援団が陣取る、アルプス席のお祭り騒ぎのことだ。昨夏の選手権大…
チアリーディング部コーチが振り付け「これが滋賀学園のスタイル」
“キレキレダンス”と呼ばれ、いまや甲子園の風物詩となったようだ。第97回選抜高校野球大会で22日に登場した滋賀学園の応援団が陣取る、アルプス席のお祭り騒ぎのことだ。昨夏の選手権大会に15年ぶり2回目の出場を果たし、準々決勝まで進出した際、SNSで紹介されて“大バズリ”。今大会開幕前から楽しみにしていたファンも多い。
滋賀学園はこの日、1回戦で浦和実(埼玉)に0-3の零封負けを喫した。それでも三塁側のアルプス席には、テレビ各局のクルーや新聞社の取材陣が多数詰めかけ、異様な熱気を発していた。
ベンチ入りできなかった控えの野球部員たちがユニホーム姿で、ブラスバンド、チアリーダーたちとタッグを組み、ユーモラスなダンスを披露する。滋賀学園の特別教員でチアリーディング部のコーチを務める村井三幸さんが、振付を考え、指導した。レパートリーは軽快なジャズナンバーを中心に、今大会で新たに加えた5曲を含め、17曲にのぼる。
滋賀学園のベンチ入りメンバーが決まったのは今月10日で、そこから漏れてしまった選手たちは大会直前練習のサポートのかたわら、1日約4時間を応援の練習に割いてきた。
村井さんは「実は9年前(2016年)に選抜に出場した時も、同じような応援を行い、それなりに話題にしていただきました。SNSの普及で、昨夏に爆発した感じです。9年前は、野球部の生徒から『チアリーディング部が踊るなら、僕らも踊りたい』と要望があったことがきっかけでした」と振り返る。
アルプス席で乱舞する野球部員たちは、真剣そのものだ。SNS上では「こんなんやるために2年半野球やってんのバカらしい」といった反応もあるが、村井さんは「これが滋賀学園のスタイルです。残念ながらベンチ入りできなかった野球部員たちは、それでもチームの役に立ちたいと考えた末、ダンスの練習をして、声を張り上げています」と強調。「私は言葉には出しませんが、彼らに『次はグラウンドへ行けよ』とエールを送っているつもりです」と力を込めた。
「当然ベンチに入りたかったので複雑な気持ちですが…」
“ダンスメンバー”の1人となった中野壮真捕手(2年)は「当然ベンチに入りたかったので、複雑な気持ちですが、ベンチ入りメンバーが発表された時、自分はサポートに全力を尽くそうと割り切りました」と語り、「(キレキレダンスは)昨夏あれだけバズったので、もっと有名にすることを目標にしてきました」と胸の内を明かす。
死力を尽くして野球に取り組み、あえなくベンチ入りを逃しても、アルプス席に全国から注目される場所があり、大会期間中のモチベーションの1つとなるなら……それも素敵じゃないか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)