◇米国男子◇バルスパー選手権 3日目(22日)◇イニスブルックリゾート&GCコパーヘッドコース(フロリダ州)◇7352yd(パー71)文字通り絶体絶命だった。「スネークピット(蛇の巣穴)」と呼ばれる難所続きの上がり3ホール。入口となる16…

◇米国男子◇バルスパー選手権 3日目(22日)◇イニスブルックリゾート&GCコパーヘッドコース(フロリダ州)◇7352yd(パー71)
文字通り絶体絶命だった。「スネークピット(蛇の巣穴)」と呼ばれる難所続きの上がり3ホール。入口となる16番で久常涼はフェアウェイウッドのティショットを左に大きく曲げた。ボールは林の奥深く、隣接する18番のすぐそばまで転がった。枝が密集した上空を抜くのは不可能な状況で、低く打って脱出を試みたが、ファーストバウンドが手前に跳ね返ってくるアンラッキー。木が邪魔になって振り切れない3打目も横のフェアウェイに出すだけとなった。
それでも、残り127ydの4打目は片手を離しながら調整してピンそば1.8mに絡め、ボギーパットが左フチから回ってカップイン。傷口を最小限に抑え、ガードバンカーよりも右に曲げた17番(パー3)も4m近いスライスラインを丁寧に流し込んで耐えた。通算5アンダーで首位と2打差に踏みとどまるビッグセーブの連発に「入ってくれて良かった。まだチャンスはあると思うので頑張りたい」とうなずいた。
1打差2位から最終組のひとつ前でプレーしたこの日は1番(パー5)で2オンに成功して幸先よくバーディを先行。いきなりトップに並んだ。しかし、その後はなかなかチャンスを作れないもどかしい展開。「きょうはちょっと(バーディパットも)ロングレンジが多かったから…」。フェアウェイからのセカンドを左にミスした3番でボギーを喫すると、6番でもスコアを落とした。1Wが右に出た後、右ラフから木をかわすセカンドでドローがかかりきらず、ショートゲームでもしのげなかった。
アイアンで2オンした11番(パー5)で2個目のバーディも、やっとチャンスと言える距離につけられたのが13番(パー3)。5mを左から膨らませて決めきった。それだけに「次も獲れていたら、もう少し良くなったかもしれないけど…」と少し悔しがったのが14番(パー5)。2打目のレイアップも帯同キャディと入念に打ち合わせて丁寧に95ydほどを残し、1.5mの絶好機を作った。「たぶん、(自分が)真ん中を向いていたんでしょうね。(その分だけ)ちょっと切れたんだろうなって」。カップに蹴られ、思わずラインをのぞき込んだ場面を振り返る。
とはいえ、終盤に我慢を重ねた価値あるパープレー「71」に本人も及第点をつける。PGAツアー自己最高3位に入った昨年8月「ウィンダム選手権」は、悪天候で競技進行が乱れて全選手が最終日に36ホールをプレーした。当時は3打差3位で最終ラウンドを迎えており、今回最も優勝に近い位置でラスト18ホールをプレーすることになる。「あした伸ばしたもん勝ちだと思うんで。頑張ります!」。22歳6カ月14日でPGAツアー制覇を達成すれば、日本勢としては2014年の松山英樹(22歳3カ月7日/ザ・メモリアルトーナメント)に次ぐ年少記録。リスペクトしてやまない先輩と同じ22歳で、キャリアを変える1勝をつかみにいく。(フロリダ州パームハーバー/亀山泰宏)