高校野球の主役は選手だが、はつらつとしたプレーの陰には、状況に応じ、選手の性格も加味した采配がある。甲子園は名勝負とと…

 高校野球の主役は選手だが、はつらつとしたプレーの陰には、状況に応じ、選手の性格も加味した采配がある。甲子園は名勝負とともに、チームをまとめる名将をも生んできた。

 今大会もその称号にふさわしい監督は多い。早稲田実の和泉実監督、東洋大姫路の岡田龍生監督、明徳義塾の馬淵史郎監督は30年以上指導し、全国制覇を成し遂げた。

 大垣日大の高橋正明監督は昨年、愛知・東邦などを率い甲子園で通算40勝を挙げた阪口慶三前監督の後任となった。初戦で西日本短大付に敗れても、充実感が漂う。「負けて楽しいという言葉はおかしいけど、楽しかった」

 前監督の「技術の前に人を育てる」という理念を受け継ぎつつ、かつてより選手の自主性を重視し、打席では伸び伸びと打たせてきた。そんな自分色の采配を振るえた手応えがあったはずだ。

 横浜の村田浩明監督は市和歌山戦の前、選手らに「上甲スマイルで戦おう」と語りかけた。愛媛の済美を率い、笑顔を絶やさず初出場初優勝を遂げた故・上甲正典監督の姿を高校時代に見て、鮮明に覚えているからだ。先達(せんだち)の残した足跡は脈々と、未来へと伝わっていく。(山田佳毅)