19日、第97回選抜高等学校野球大会の大会2日目で評価を上げたのが、沖縄尚学の左腕・末吉 良丞投手(2年)だ。打力は出場校の中でも上位クラスと評価される青森山田相手に3失点完投勝利を挙げた。まだ制球力など細かな課題は多いが、それでも175セ…

19日、第97回選抜高等学校野球大会の大会2日目で評価を上げたのが、沖縄尚学の左腕・末吉 良丞投手(2年)だ。打力は出場校の中でも上位クラスと評価される青森山田相手に3失点完投勝利を挙げた。まだ制球力など細かな課題は多いが、それでも175センチ87キロと馬力のある体型から投げ込む威力抜群のストレートは、スカウト受けしそうな球質だった。来年(26年)のドラフト候補に挙がる末吉の投球を振り返っていきたい。

 全国デビューとなった昨秋の明治神宮大会では極寒で雨も降る中、なかなか実力が発揮できず、最速は139キロ止まりと悔しい投球内容となった。そこから調整方法を見直し、センバツは寒さの中で投げることを想定して、アップから走り込みを念入りに行って、体が動くように調整を行った。

 立ち上がりから144キロをマークし、その後も常時140キロ台の直球を内外角に厳しく投げ込んだ。末吉は自分の球質について「重い球質だと思います。詰まらせる投球が得意です」と語るように、直球を詰まらせて内野ゴロに打ち取るパターンが見られた。非常に威力があり、芯を外すと飛ばない新基準バットはプラスになる。

 さらに空振りを奪える変化球が多い。120キロ後半のスライダー、そして120キロ後半のスプリットもこのオフにマスターした。秋の時点では直球、スライダー、カーブの3球種がメインだったが、このままでは狙い球が絞られやすいと考えてスプリットを習得したという。末吉は「秋までの自分は、縦変化がない投手だったので、縦変化をマスターしようと思っていた。しっかりと投げられてよかった」と新球にも手応えを感じていた。

 左腕をひねるような動作で腕を振っていく投球フォームは荒々しく、上半身、下半身の動きや手首の使い方などがうまく合致しないとボールになりやすい。実際に青森山田戦もボール先行になって6四死球だった。いかにフォームの再現性を高め、安定したリリースで投げることができるかが制球力向上のカギとなるだろう。

 ストレートの球速、威力は高校2年生左腕では最上位に入る投手で、順調にいけば、常時140キロ後半を出せる可能性は秘めている。

 がっしり体型で、140キロ後半の速球を投げられ、球速の速い変化球を投げる左腕といえば、東松 快征投手(享栄-オリックス)を彷彿とさせる。東松の高校2年時は、140キロ後半の速球とカーブを武器にしていて、最終学年にかけてフォーク、チェンジアップなど徐々に投球の幅を広げていった。

 末吉にはどんなプランで攻めたのか、体作りやどんなテーマで投球練習をするのかなどを具体的に答えられるクレバーさもある。頭角を現すのが早い投手ではないか。

 残り1年半、どのように才能を伸ばすのか。今後も注目していきたい。

末吉 良丞(すえよし りょうすけ)

仲西ヴィクトリーBBC、仲西中学校では軟式でプレーし、1年夏から背番号20でベンチ入りし、1年秋から背番号1を任された。遠投115メートル。