選抜高校野球1回戦(18日、甲子園)○二松学舎大付(東京)3―2柳ケ浦(大分)● 二松学舎大付が43年ぶりに春の甲子園で勝利の校歌を響かせた。久々の白星をたぐり寄せたのは、背番号「11」の右腕だった。 河内紬(つなで)が開幕試合の先発…

選抜高校野球1回戦(18日、甲子園)
○二松学舎大付(東京)3―2柳ケ浦(大分)●
二松学舎大付が43年ぶりに春の甲子園で勝利の校歌を響かせた。久々の白星をたぐり寄せたのは、背番号「11」の右腕だった。
河内紬(つなで)が開幕試合の先発を託された。直球と変化球のコンビネーションが抜群だった。四回までテンポ良く投げて一人の走者も許さず、気迫十分の投球を披露した。
最大の見せ場は、勝ち越した直後の七回だった。制球にばらつきが出始め、2死二、三塁のピンチを迎えた。一打で逆転を許しかねない場面だったが、遊撃手の入山唯斗から「気持ちだぞ」と声をかけられ自然と力がこもった。
柳ケ浦の9番・真子陽登に対してボールが先行したが、自己最速タイとなる142キロをマークした。力のある直球でファウルを誘って追い込み、最後も141キロの低め直球を詰まらせて遊飛に打ち取った。「一人一人に集中して自分の投球を心がけた。最後は気持ちで押せた」。マウンドで何度もほえた。
直球を生かすために昨秋に習得したチェンジアップや90キロ台のカーブもさえ、打者の打ち気をそらした。柳ケ浦の鈴木聡監督も「真っすぐのタイミングで待っているところにチェンジアップが来て対応できなかった。制球も良く淡泊な攻めになってしまった」と脱帽した。
二松学舎大付のセンバツ初戦は鬼門だった。過去7度出場しながらも、勝利を挙げたのは市原勝人監督がエース左腕として準優勝に貢献した1982年の1度のみ。ここまで5連敗中だった。いずれの試合も5点以上とられて負けており、投手陣が課題だった。
新チームでは絶対的エースこそ不在だが、タイプの違う2人が継投でしのぐのが持ち味だ。河内はゲームメークする力にたけ、背番号1を背負う及川翔伍は力強い速球でねじ伏せる。今回も河内が勝利の流れを作り、及川との継投で逃げ切った。
市原監督は「勝った喜びよりも、甲子園で1勝する難しさを実感した。甲子園で1勝するのは本当に大変なことです」とホッとした表情を見せた。センバツで課題だった投手陣が見事に踏ん張った。【牧野大輔】