◆明治安田 J1リーグ▽第6節 鹿島1―1浦和(16日・カシマS) 鹿島は後半アディショナルタイム(AT)にMF知念慶(29)が劇的な同点ゴールを挙げ、浦和と1―1で引き分けて首位を守った。前節でJ1最多に並んでいたホーム無敗記録(23年1…

◆明治安田 J1リーグ▽第6節 鹿島1―1浦和(16日・カシマS)

 鹿島は後半アディショナルタイム(AT)にMF知念慶(29)が劇的な同点ゴールを挙げ、浦和と1―1で引き分けて首位を守った。前節でJ1最多に並んでいたホーム無敗記録(23年10月~)を26試合に伸ばし、選手とクラブ、サポーターが「三位一体」となった結束力で、歴代単独最多とした。3連覇を狙う神戸は湘南に2―1で競り勝ち、G大阪に2―0で快勝した横浜Mとともに今季初勝利を挙げた。

 今季最多3万1574人の大声援に、鹿島の選手たちが応えた。0―1の後半45分、鹿島は4―2―4の超攻撃的布陣で1点を狙う。セットプレーのこぼれ球を鈴木がつなぎ、植田がクロス。混戦から知念が頭でネットを揺らした。敗色濃厚の試合で勝ち点1をもぎ取り、ホーム無敗記録で歴代単独最多に立った。

 鬼木達監督(50)は「力強い後押しがあった」と会場の熱量に感謝した。低調な出来に終始したが最少失点でしのぎ、執念で1点を奪った。勝てなかったが、負けなかった。

 無敗記録が始まった23年季から経理や人事、IT部門など、もともとは試合当日にオフだった役職も含め、全社員が試合運営に携わるようになった。「うちの最大の魅力は試合。一人一つは何かしらの役割を」(クラブ関係者)と、試合に臨む選手、選手の原動力となる声援を送る来場者を手厚くバックアップする体制を整えた。

 全社員が共有する運営マニュアルの表紙には「自信と献身性」という、ジーコ氏のメッセージが添えられている。24年季をホーム無敗で終えたことで得た自信とクラブ哲学の献身性。関係者は「勝利の確率と安全性を1%でも上げるために、我々は働く」と胸を張る。

 同点弾アシストの植田が「ここでは負ける気がしない」と語るように、雰囲気をつくっているのはサポーターだ。J最多20冠の歴史を知り、サッカーの肝を押さえた応援が勝利に導く一方で、昨季より開始した小学生以下全試合無料施策の実施により、若年層も増えた。昨季は平均入場者数でクラブ歴代最多(2万3027人)を記録した。

 「鹿島一心」。大一番で、サポーターが試合前に掲げる巨大横断幕だ。選手、クラブ、サポーター、三位一体でつかんだJ新記録の偉業は、まだ道半ば。勝ち点1を得た試合だったが、鈴木は「この結果には誰も満足していない」と語る。鹿島に関わる全員が心を一つにし、頂点だけを目指す。(岡島 智哉)

 ◆カシマスタジアム 所在地は茨城・鹿嶋市。収容3万9095人。1993年5月、Jリーグ初年度に開業。同年以降、鹿島が本拠地として使用。2002年日韓W杯、21年東京五輪開催。日本神話最強の武神・武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)を祭神とし、「勝利の神様」「武術の神様」として崇敬を集める鹿島神宮から4キロの位置。スタジアムグルメも有名で、もつ煮やハム焼きはJ屈指の人気を誇る。24年シーズンの平均入場者数はクラブ歴代最多の2万3027人。