◆明治安田 J1リーグ▽第6節 鹿島1―1浦和(16日・カシマS) 【浦和担当・金川誉】鹿島のホーム無敗記録を止めるまで、本当にあと一歩だった。2016年以来、9年ぶりのアウェー鹿島戦勝利は目前だった。しかし浦和は、後半45分の失点で追いつ…
◆明治安田 J1リーグ▽第6節 鹿島1―1浦和(16日・カシマS)
【浦和担当・金川誉】鹿島のホーム無敗記録を止めるまで、本当にあと一歩だった。2016年以来、9年ぶりのアウェー鹿島戦勝利は目前だった。しかし浦和は、後半45分の失点で追いつかれ、1―1の引き分けに終わった。警戒していた鹿島のセットプレーからの流れで失点。試合後、疲弊しきった様子でピッチに倒れ込んだDF荻原拓也は「案の定すぎて。鹿島にああいう時間に追いつかれて、引き分けに持って行かれるって。でも悲観的になりやすいシチュエーションでも、よかったことを拾っていかないと。やっぱりリーグは戦えないので」と悔しさをにじませつつ、前を向いていた。
鹿島の攻撃をプレスで制限し、何度もいい守備からチャンスはつくった。またMFグスタフソンを経由し、鹿島のプレスをいなして敵陣に侵入する場面も増え、ビルドアップも改善。ゴールが生まれたのは前半アディショナルタイム。相手の立ち位置を見たGK西川がロングボールを送ると、MF金子がヘディングでつなぎ、高い位置を取っていたDF関根がクロス。これをファーサイドでMF松本がスライディングで押し込んだ。
「守備の面でも組織的に守れて、そこからショートカウンターもあった。ウイングとFW、ダブルボランチの守備、攻撃の関係性もすごくよかった。この1週間、準備してきたことが出た」(松本)と、選手たちも手応えを感じていたはずだった。リード後、前掛かりに攻撃を仕掛けてきた鹿島に対し、2点目が奪えそうな場面もあった。試合内容で勝負が決まるのであれば、浦和の“優勢勝ち”だったはずだ。
守備の安定をチームの基盤とするスコルジャ監督のチーム。前節の岡山戦、今季5試合目でつかんだ初勝利は1―0のいわゆる“ウノゼロ”勝利だった。それでも荻原は「前節はたまたま入っていなかっただけ。今回の失点で、自分たちがもう一度、学ばなくちゃいけない。中での意思統一は絶対に必要。キープする時間、角(コーナー付近)を取りに行く時間とか。ちょっとしたズレなんですけど、ちょっとしたことが続いた。混乱、というほどじゃないけど、そこは選手たちひとりひとりが判断し、意思決定してやるべき」と語り、チームの課題と向き合った。
カウンターで2点目を奪うため、どこでリスクをかけて一気に攻めきるのか。時間を使うのであれば、どんなコンビネーションで相手陣内へと着実にボールを運ぶのか。荻原の言う「ちょっとしたズレ」を解消していくには、より活発な選手間のコミュニケーションと、意思統一、さらにそれをピッチでまとめるリーダーの存在が必要になる。ただ引き分けに終わったが、首位鹿島と互角以上に戦ったということも事実。この試合で感じた手応えと課題を、12日後のアウェーC大阪戦につなげていくしかない。