険しく、やつれた顔つきで、法廷に向かった水原被告。(C)Getty Images 改めて騒動の深刻さを物語る事実が明るみになった。 世界的な関心を集めたのは、現地時間2月6日に下された一大判決だ。ドジャースの大谷翔平の元専属通訳で、銀行詐欺…

険しく、やつれた顔つきで、法廷に向かった水原被告。(C)Getty Images

 改めて騒動の深刻さを物語る事実が明るみになった。

 世界的な関心を集めたのは、現地時間2月6日に下された一大判決だ。ドジャースの大谷翔平の元専属通訳で、銀行詐欺罪などでの有罪が確定している水原一平被告に対して、カリフォルニア州サンタアナの連邦裁判所は検察側の求刑通りとなる禁錮4年9か月と大谷に対する約1700万ドル(約25億6700万円)の賠償命令という量刑を言い渡した。

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 反響はさまざまに集まった。大谷本人を取材した経験を持ち、水原被告とのかかわりもあったという米スポーツ専門局『FOX Sports』のアナリストであるベン・バーランダー氏は自身のXで「判決が出た。ショウヘイ・オオタニの元通訳で、友人でもあったイッペイ・ミズハラは懲役57月を宣告された。ほぼ5年だ」と投稿。「1600万ドルを『盗んで』たったの5年?」とのポストに対して「5年は正気の沙汰とは思えない。同感だ」と持論を綴った。

 バーランダー氏をはじめとする多くの識者やファンが「正気の沙汰とは思えない」と強調したように、最終的な判決の正当性は疑問視された。おそらくそれは大谷側が受けた被害の大きさとともに、量刑言い渡しの場でも水原被告が重ねていた「嘘」が明らかにされたからだろう。

 この日、水原被告は「手紙にも書いた通り、私のやったことに対してMr.大谷には心から申し訳ないと言いたい。この過ちは私の今後の一生に影響を与える。その結果を受け入れる覚悟はできています」「どうか、慈悲を与えてください」と情状酌量を求めた。だがしかし、ジョン・ホルコム判事は「真実ではない」と糾弾した。

 そして、スキャンダルの節目となった今回の裁判で明らかにされたのは、水原被告と大谷の深かった関係性を証明するような実態の数々でもあった。

 事件の顛末をリポートした米メディア『iGB』は、1月23日にホルコム判事に宛てた書簡内で、同被告は大谷のサポートに「24時間、365日」も追われる苛烈な労働環境下にあった自分が「著しく低賃金」であったことを訴えていたが、実際は多額の資金を受け取っていたと報告。大谷や他の選手たちから「5桁(約100万円以上)の年末ボーナス」を授受していたほか、大谷からは雑務をこなす度に高額のチップを受け取っていたという。

 また、大谷のスポンサー企業から報酬や商品を無料で受けていたという水原被告には、高級車ポルシェのSUVも提供され、ビザを持たない自身の妻が利用するファーストクラスの航空券の支払いを同選手にしてもらっていたことも判明。一連の事実は「困窮していた」という生活に資金的な余裕があったと言える内容だけに、やはり同被告の証言を疑わざるを得ない。

 徹底した調査によって次々と暴かれた水原被告の抱えていた闇。ホルコム判事が「あなたは私に全てを話していないように見える」と断じ、減刑の余地を認めなかったのも致し方なしか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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