■中盤にはJ1神戸からビッグネームが J1昇格を明確なターゲットとし、かつそのために必要な戦力を揃えたチーム――第1回のV・ファーレン長崎は、下平隆宏監督のチームは外国人選手の質と量が群を抜いており、J2屈指の攻撃力を備える。 今シーズン…
■中盤にはJ1神戸からビッグネームが
J1昇格を明確なターゲットとし、かつそのために必要な戦力を揃えたチーム――第1回のV・ファーレン長崎は、下平隆宏監督のチームは外国人選手の質と量が群を抜いており、J2屈指の攻撃力を備える。
今シーズンは下平隆宏監督が就任2年目で、すてにチームのベースは固まっている。保有戦力の充実度も踏まえると、J1自動昇格の本命と言っていいだろう。
そんな長崎の中盤には国内屈指のビッグネームがやってきた。日本代表として2014年、18年のワールドカップでメンバー入りした山口蛍が、J1王者のヴィッセル神戸から加入したのだ。
下平隆宏監督は山口について、「積んでいるエンジンが違う。止まるところ、動き出すところ、パワーのところが普通の選手よりかなり良いエンジンを積んでいる印象」と話す。
オフの移籍市場では、主将を務めたMF秋野央樹がJ1のアビスパ福岡へ移籍した。秋野とはプレースタイルが異なる山口だが、強いメンタリティとリーダーシップ、さらには豊富な経験を持つ。セレッソ大阪でJ2の戦いを経験し、J1昇格プレーオフを勝ち抜いたこともある。中盤はパワーアップしたと言っていい。
ブラジル人MFエメルソン・サンタナ・デオクレチアーノも獲得した。左ウイングを主戦場とするアタッカーで、MF笠柳翼とポジションを争うことになる。
エメルソンの加入により、長崎の外国籍選手はCBエドゥアルド、MFマルコス・ギリェルメ、MFマテウス・ジェズス、FWフアンマ・デルガド、FWエジガル・ジュニオの6人となった。いずれも、J1で通用するクオリティを持つ。J2の外国籍選手の出場は4人までで、下平監督はどのように選手を組合せていくのか。そのチョイスが注目される。
■昇格候補の重圧を跳ねのけられるかがカギに
昨シーズンの長崎は、J2リーグ最多の74ゴールを叩き出した。フアンマが10得点、エジガルが15得点を記録し、インサイドハーフと最前線中央で起用されたM・ジェズスがチームトップの18ゴールをマークした。右ウイングが主戦場のM・ギリェルメも12得点をあげ、外国人カルテットで驚異の55ゴール(!)を叩き出している。
彼らが揃って契約を更新した以上、前線の補強は最小限でOKだ。実際にアタッカー陣の新加入は、FW山崎凌吾に限られる。セレッソ大阪から加入した187センチのサイズを持つ32歳は、途中交代のカードとして使われることになりそうだ。
補強充実度:A
今オフ最大と言っていい移籍劇で、MF山口蛍が加入。個の力を持った外国籍選手を残留させ、CBエドゥアルド、左ウイングのエメルソンもスカッドに加えた。GK後藤雅明、MF山口の獲得でセンターラインに芯が通り、攻撃的なポジションに実績十分の外国籍選手が並ぶ。少しぐらいケガ人が出ても、戦力を落とすことなく戦うことができるだろう。
昇格可能性:A
保有戦力から判断すれば、「A」評価に迷いはない。昨シーズンは勝点1差で自動昇格を逃した。その一因となったのが、リーグで4番目に多かった引分けだ。「12」あったドローゲームを勝ちゲームへ変えていくために、GK後藤、MF山口らが力を注いでいくだろう。
また、昨シーズンは3節から24節まで22試合負けなしのクラブ記録を樹立したが、24節から30節まで7試合勝利から遠ざかった(4分3敗)。シーズンを通した安定感もポイントになる。
もうひとつ付け足せば、J1昇格の有力候補として迎えるシーズンだけに、プレッシャーに打ち克つメンタリティも問われる。昨シーズンのJ1昇格プレーオフ準決勝で、6位のベガルタ仙台をホームに迎えながら1対4で敗れた原因には、重圧を跳ねのけることができなかったことがあげられる。経験豊富な山口には、精神的な支えになることも期待される。