2025年2月1日、ケーズデンキスタジアム水戸で「いばらきサッカーフェスティバル」として水戸ホーリーホック対鹿島アントラーズの一戦が行われた。試合は1-1の同点だった。試合開始6分にオウンゴールで水戸が先制点をあげる。追う鹿島は、前半15…
2025年2月1日、ケーズデンキスタジアム水戸で「いばらきサッカーフェスティバル」として水戸ホーリーホック対鹿島アントラーズの一戦が行われた。試合は1-1の同点だった。試合開始6分にオウンゴールで水戸が先制点をあげる。追う鹿島は、前半15分に田川亨介のゴールで同点にした。試合は、そのまま1-1で終了したのだが、水戸と鹿島の問題点が浮き彫りになった。ここで述べる問題点とは、プレシーズンで「構築された点」とまだ「構築されていない点」だと言える。
両チームの得点シーンに続いては、印象に残った場面を指摘しながら話を進めたい。参考とする映像は、鹿島の公式ホームページにある以下のところである。
https://www.antlers.co.jp/games/53735
■前に出て「プレスに行くべきだった」大森渚生
【濃野公人のシュートを松原修平が止めた場面】
鹿島の左サイドにボールがあったので、水戸にとっての右サイドに全体が寄せている。鹿島の右サイドは当然、フリースペースになっている。ボールが左サイドから大きく右サイドに送られる。右サイドバック(以降SB)の濃野公人にボールが渡る。勢いよくドリブルした濃野は無回転のシュートを放つ。ゴールキーパー(以後GK)の松原修平がなんとか弾いて難を免れる。
ここでの水戸の対応は、ファーストプライオリティ(最も優先してすべきこと)を考えると、ゴールを守ることにある。したがって、左SBの大森渚生が前に出てプレスに行くべきである。そうすれば、ミッドフィルダー(以後MF)の山本隼大が真下に降りないで大森のカバーに回ることができる。フリーで打たれていることが問題で、「打ってこないだろう」と少しでも大森が考えていたのならば、今後は少しでも気を抜くことができないと学ぶべきだろう。
■楽しみなレオ・セアラの「チームへのフィット」
【大森渚生のアーリクロスからのヘディングを早川友基がセーブした場面】
左SBの大森にボールが渡ると、すぐにアーリークロスをゴール前に放り込む。FW久保征一郎がヘディングでゴールを決めたと思わせたが、早川のファインセーブで鹿島は救われる。ここでもセンターバック(以降CB)の関川郁万がボールウォッチャーになってしまい、マークしていた久保をフリーにしている。
大森にボールが渡ったときには、関川は久保を視界に入れていた。右CBの植田直通はニアをケアしようとする。CBの基本としては、ボールと人が見える位置にポジショニングしなければならない。関川は、最初は久保とボールが見える位置にポジショニングしていた。しかし、大森がアーリークロスを上げて来るとは予想していなかったので、久保を視界から外してしまったのだろう。
【鹿島が右サイドで壁パスを利用してクロスを入れる】
この場面は、鬼木監督がやりたい攻撃パターンだろう。人とボールが流れるように連動していく。小池が右サイドで起点になってボールを回す。ワンツーパスで師岡柊生にボールが渡ると、エンドライン前からマイナスにクロスを上げようとする。山本がスライディングでケアするのだが、攻撃パターンとして鬼木監督らしさが見られた場面だった。こうした攻撃を増やしていくことで、得点力は確実にアップするだろう。この場面での水戸の守備だが、後半から出場した碇明日麻が師岡柊生についていくべきだろう。
監督2年目の森監督は、ハードなトレーニングを積み上げて水戸の開幕ダッシュを狙う。大幅な選手の入れ替えは毎年のことだが、水戸に加入して2~3年目の選手の成長が見られるので、昨シーズンよりも上の成績が望めそうだ。鹿島の鬼木監督は、チームを作り上げる段階にあって、開幕までに戦闘体勢を整えてくるだろう。レオ・セアラがチームにどんな形でフィットしてくるのかが楽しみである。この試合で選手が入れ替わった後半の戦い方が、鹿島の新しいスタイルになると思われる。