重要な局面でペースを握られ優勝に届かず 2月2日に日環アリーナ栃木で行われた「令和6年度 第35回関東高等学校バスケットボール…

重要な局面でペースを握られ優勝に届かず


 2月2日に日環アリーナ栃木で行われた「令和6年度 第35回関東高等学校バスケットボール新人大会」の男子決勝、土浦日本大学高校(茨城県)は八王子学園八王子高校(東京都)に最終スコア68−83で敗れた。

 土浦日本大は第1クォーターで2ケタのビハインドを背負う展開となるも、第2クォーターからはディフェンスの強度を上げて追撃。攻めては渡部駆流、夏目悠良(ともに2年)の3ポイントシュートを軸にスコアを伸ばし、第3クォーターで一時2点差まで詰め寄った。しかし、最終クォーター終盤にシュートが落ちはじめると、相手にバスケットカウントやオフェンスリバウンドを献上。優勝にはあと一歩届かなかった。

「勝負どころでリバウンドとスクリーンアウトが徹底できなかったですね。試合の出だしも留学生以外のところではこっちに分があると思っていましたが、周りの選手たちにもやられてしまいました」

 佐藤豊文コーチが振り返ったように、この試合では重要な立ち上がりと残り5分以降のパフォーマンスに精彩を欠いた。特にゴール下の争いでは八王子学園八王子のニャン セハセダト(1年)、ンジャイ パプンデリセク(2年)を抑えきれず、全体リバウンド数は33対56と大きく差をつけられた。

 相手留学生と対峙したのは、1年生センターのウェリグベリハ リチャード(1年)。身長は201センチあるが、まだまだ線が細く、この敗戦を機にどのような成長を見せるかもチームにとって大きなポイントになりそうだ。佐藤コーチは「あくまでやるのは選手」といった具合に、リチャードが自主性を持って練習に取り組めるかどうかを問う。

「彼自身が『このままじゃダメだ』って思うかどうかだと思います。体を大きくしてフィジカルをつけることだったり、スクリーンアウトの大切さだったりを彼自身が気づいて、考えられるかが重要だと思っています」

大型チームで全国上位へ、鍵を握る“SG”


 今大会の土浦日本大を見ると、全体的にポテンシャルを秘めた高さのある布陣になりそうだ。センターには前述したリチャード、パワーフォワードには195センチの渡邊脩希(2年)、スモールフォワードには194センチの夏目が並び、ベンチメンバーにも195センチのビッグマン・飯田渚颯(1年)が控える。

「すぐにチームが完成するわけではないですが、渡邊と夏目は一緒に起用したいと思っていますし、これから1年生の飯田渚颯もどんどん使っていきたいです。ただ、リチャード、渡邊、夏目の3人を同時に使うと、どうしてもディフェンスが重くなってしまう部分があるので、そこは夏目あたりが八王子の11番(花島大良)のような(スピードのある)選手しっかりつけるよう、もう少し経験が必要だと感じています」と佐藤コーチ。

 ポイントガードは背番号4の渡部が務め、渡部は今大会の4試合で計121得点(平均30.2得点)をマークしたオフェンス力が光る。そして、指揮官の頭の中で“空席”となっているのが、シューティングガードのポジションだ。

「今回の新人戦では2番ポジションで4人を起用しました。ディフェンスは頑張ることができましたけど、その以外のプレーがまだ不十分です。私の中ではそこがまだしっくりしていませんので、4月に入ってくる新入生も含めて見極めていきたいと思います」

 新チームがスタートして以降、土浦日大は県外への遠征でも強化を図っている。佐藤コーチの現時点の感覚は決して悪くはない。

「昨年よりも団子状態だと感じています。九州のチームと試合をして勝つこともあれば負けることもありました。関東新人が終わり、ある程度これからの課題が浮き彫りになってきましたので、それを一つひとつクリアできれば全国でも上位争いはできると思っています」

 高校バスケの新シーズンはまだ始まったばかり。土浦日大が今大会の悔しさを今後にどうつなげるか注目だ。

文・写真=小沼克年