第41回フェアリーS(12日/GIII、中山芝1600m)には、昨年関東リーディングジョッキー1位の戸崎騎手が騎乗するエリカエクスプレス、初のマイル戦となるホウオウガイア、シンリョクカの半妹レイユールなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ニシノラヴァンダ」を取り上げる。
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■ニシノラヴァンダ
【中間調整】昨年6月、函館開幕2週目の新馬戦(芝1200m)で鮮やかに逃げ切って4馬身差V。そこから中3週の函館2歳Sは同型との兼ね合いがどうかという点で8番人気という評価に留まっていたが、蓋を開けてみればなんなく主導権を握ってレースを引っ張り、最後はサトノカルナバルの差し脚に屈するも、渋太く2着を確保している。その後は放牧を挟んでアルテミスS→阪神JFという青写真だったが、飛節後腫を発症しいったんご破算に。復帰戦を京王杯2歳に切り替えるが、こちらも見送りフェアリーSから復帰することとなった。
12月半ばに美浦へ戻り、19日にウッドで軽く流したのが初時計。続く26日はペースをやや速めてウッドで併せ馬を行ったが、直線で右に大きくモタれてしまい手応え劣勢でなんとか古馬1勝クラスに併入という動きだった。4日の1週前追いではモタれる面は見せず、古馬3勝クラスに先行先着ではあったが、序盤に溜めたほどは弾けなった印象。
【最終追い切り】レース当週は今回からコンビを組む菅原明騎手を背にウッドで単走。意図的にゆったり入り、前を行く別組の併せ馬が視界に入っても折り合いを維持できていたのは良かったが、直線での動きはストライドを小さく見せ、伸びは一本調子だった。
【見解】一定の軽快さはあり、折り合いも上々。小柄で仕上げに手が掛からないタイプであり、走れる状態は一見整っているように感じる。しかし2週前、1週前、最終のウッド5F時計が69秒2→69秒9→70秒1というのは半年ぶりを考えるとさすがに物足りない。軽めで大丈夫とはいえ、新馬戦2週前は美浦坂路4F53秒8(一杯)、函館2歳Sの1週前は函館ウッド5F67秒7(馬なり)と格好のつく負荷は掛かっていた。2週前にはモタれたように、馬にまだどこか違和感が残っており攻めを強められない状況なのかもしれない。スピード能力の高さは折り紙つきも、ある程度序盤から速いラップを刻む攻めをどこかでこなして欲しかったところ。逃げ不発、もしくは逃げられたとしても息切れ……というシーンは十分にありそうで、過信禁物だ。
総合評価「B」
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著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。