2025年3歳牡馬クラシック皐月賞とダービーの勝ち馬は?(後編)卓越した勝負根性が高く評価されているヴィンセンシオ photo by Sankei Visual 注目の3歳春のクラシック。牡馬戦線は今年、クロワデュノールという断然の存在がい…
2025年3歳牡馬クラシック
皐月賞とダービーの勝ち馬は?(後編)
卓越した勝負根性が高く評価されているヴィンセンシオ
photo by Sankei Visual
注目の3歳春のクラシック。牡馬戦線は今年、クロワデュノールという断然の存在がいるが、GI皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)、GI日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)ともに同馬が戴冠を果たすのか。あるいは、これから台頭してくる"大器"がいるのか。識者たちが二冠の行方をズバリ予想する――。
小田哲也記者(スポーツニッポン)
◆皐月賞=クロワデュノール(牡3歳/父キタサンブラック)
◆ダービー=ヴィンセンシオ(牡3歳/父リアルスティール)
GIホープフルS(2024年12月28日/中山・芝2000m)であれだけの強さを見せられると、同じ舞台の皐月賞は確勝と言わざるを得ません。
東京の2戦で見せた立ち回りのうまさと強靱なキレ。距離損をまったく気にすることなく、3角手前から外目を動いていって完勝したホープフルSでの持続力は、最終的に地力勝負を求められる皐月賞に直結します。
母父ケープクロスの配合からは、ダービー馬ロジユニヴァースも出ています。万能型の父キタサンブラックの血も強力で、距離延長自体も問題ないはずです。
三冠へのカギを握るのは、2400m初挑戦となるであろうダービー。そこもあっさりクリアするようなら、三冠は当確でしょう。
そのダービーでより魅力的なのは、ヴィンセンシオです。
1月9日時点で2戦2勝、収得賞金900万円。三冠ロードに乗るには賞金加算か、優先出走権確保が不可欠ですが、新馬(2024年8月31日/新潟・芝2000m)→1勝クラスの葉牡丹賞(2024年11月30日/中山・芝2000m)で見せた勝負根性に、大化けの可能性を感じています。
夏の新馬戦は、まだ遊び遊びの走り。そこから14kg増と見た目にも成長を示した葉牡丹賞では、持ち時計を約10秒も短縮して1分58秒8の2歳コースレコードを記録。首の上げ下げのハナ差接戦を制した根性や勝負運を見ても、(この馬は)何かを持っています。馬場状態が違うとはいえ、同じ舞台のホープフルSの勝ちタイム(2分0秒5)を大きく上回ったことも評価できます。
馬体はいい意味でゆとりがあって、距離は延びてこそでしょう。祖母に名牝シーザリオを持つ良血。賞金加算をかけた次走が大きなカギになりますが、大仕事をやってのける素地はあります。
木村拓人記者(デイリー馬三郎)
◆皐月賞=クロワデュノール(牡3歳/父キタサンブラック)
◆ダービー=クロワデュノール
デビュー3戦3勝。ここまでのレースぶりを見る限り、クロワデュノールは今春のクラシック2競走における最有力候補であると言わざるを得ません。
キタサンブラック産駒特有の成長曲線で、"まだまだこれから"という素材。2戦目のGII東京スポーツ杯2歳S(2024年11月16日/東京・芝1800m)では、大幅な馬体増。それも含めて、まだまだ"緩い"というイメージでした。
ところが、続くホープフルSでは馬体の出来が一段上がったという印象で、レース内容もまさにそのとおりでした。血統的にも、距離が延びるのはまったく問題ないでしょう。
ひとつ懸念があるとすれば、母ライジングクロスの子は気性に難しさがあり、これをどうコントロールするか。そのあたりは、今後の課題となるかもしれません。
賞金的に十分足りているので、ローテーションを組むのにも余裕があるのも好感が持てます。関東馬の1勝クラスにも素質馬が控えていますが、それでも今の感じではクロワデュノールを倒すほどの馬は見当たりません。
土屋真光氏(フリーライター)
◆皐月賞=クロワデュノール(牡3歳/父キタサンブラック)
◆ダービー=エネルジコ(牡3歳/父ドゥラメンテ)
東スポ杯2歳SからホープフルSと、まったく異なる適性が求められる2つのレースをあっさりと勝ったクロワデュノール。それだけでもう、有力なクラシック候補と言うしかありません。
正直、この馬のような馬体の増減が2歳時からある馬は懸念のほうが大きく、ホープフルSでは懐疑的に見ていました。しかし、レースではその懸念を吹き飛ばす、鮮やかな勝ちっぷり。現時点では、この馬には逆らいようがないなと思いました。
皐月賞でも同じようなレースをすれば、あっさり突き抜ける――そんなシーンが容易に想像できます。
ただ、キタサンブラック産駒はイクイノックスしかり、ソールオリエンスしかり、抜けた力を秘めながら、なぜかダービーは取りこぼしています。成長曲線の妙なのか、3歳春時点での適性によるのかは定かでありませんが、クロワデュノールにも同じことが起きても不思議ではありません。
そこで、東京の新馬戦(2024年10月20日/芝1800m)で圧巻の勝利を飾ったエネルジコに期待します。
早世したドゥラメンテ産駒の最終世代の1頭。新馬戦では、他馬の上がりが軒並み34秒以上のなか、1頭だけ上がり33秒3をマーク。異次元の末脚を繰り出して、後方一気を決めました。
以降、休養に入っていますが、1月後半からの東京開催のレースに照準を定めている模様。着実に賞金を加算していくか、出走権をきっちり確保して、ダービーに駒を進めてほしいです。