■唯一のフル出場 前回大会でベスト4に入った土浦日本大学高校(茨城県)は、『SoftBank ウインターカップ2024 令和6…

■唯一のフル出場


 前回大会でベスト4に入った土浦日本大学高校(茨城県)は、『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』の初戦で姿を消した。敗れた相手は高山西高校(岐阜県)。土浦日大は第1クォーターで5点リードを得たものの、第2クォーターで13-24、第3クォーターでも5-13とペースをつかめず、47-55でタイムアップを迎えた。

 この試合、両チームを通じてただ1人40分間コートに立ち続けたのは、土浦日大の平岡皇太朗(3年)。1年生からコートに立ち、今年はキャプテンとしてチームを引っ張ってきたポイントガードだ。

 昨年のチームは、平岡と同じくキャプテン兼ポイントガードの北條勇吹(筑波大学1年)が強烈なリーダーシップを発揮してウインターカップベスト4まで勝ち上がった。「北條さんは本当にリーダーシップがあって練習でも試合でもずっと声を出していました」。新チーム以降、背番号4を受け継いだ平岡は北條のような主将を目指して1年間努力を重ねた。

■キャプテン発案「気合を入れるため」


 今年の1年生には201センチのリチャード ウェリグベリハがチームの一員となり、土浦日大は伝統の堅守速攻に高さが加わった。その中でも、平岡はプレー面以外でも団結力を深めることを意識したという。

「先輩、後輩関係なく仲の良いチームだったと思います。練習中、後輩は先輩に対してどうしても言いづらい部分があると思うんですけど、今の後輩たちは先輩にもダメなものはダメという感じで指摘し合える関係になることができました」

 ウインターカップ直前にはチーム全員で頭を丸め、東京体育館に乗り込んだ。「気合を入れるためです」。これも平岡の発案だった。しかし、夏、冬と思うような結果を残せず、「去年の北條さんのような選手になりなかったですけど、チームを上手くまとめることができずに負けてしまって……。自分のせいだなと思います」と、敗戦後は声を詰まらせた。

■充実の3年間を糧に飛躍誓う


 土浦日大での3年間を振り返り、「1年目から試合に出させてもらってすごくいい経験ができました。2年生の時には先輩たちのおかげでウインターカップベスト4という結果を残すことができたんですけど、やっぱり自分の代でいい成績を残したかったです。でも、ガードとしてはプレーだけじゃなくて声を出してチームをまとめることを教えてもらいました」と、平岡は複雑な心情を吐露。

「大学でも1年目から試合に出たいです。春の大会や1、2年生が出場する新人戦、秋のリーグ戦にも活躍して、最後のインカレでも試合に出られるように頑張りたいです」

 高校日本一の夢は後輩たちに託す。平岡は次のステージでの飛躍を誓い、取材エリアを後にした。

取材・文=小沼克年