NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン3 第1節2024年12月21日(土)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)中国電力レッドレグリオンズ 26-61…

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第1節
2024年12月21日(土)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
中国電力レッドレグリオンズ 26-61 マツダスカイアクティブズ広島

「大好きな日本」で、夢は日本代表入り。異国の地で学び続ける21歳の第一歩


中国電力レッドレグリオンズに新加入のセバスチャン・シアラウ選手。10番としてリーグワンデビューを飾った

日本での大きな一歩を踏み出した。中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)のセバスチャン・シアラウが来日3年目で待望のNTTジャパンラグビー リーグワンデビューを飾った。

2022年11月、オーストラリアのメルボルン・レベルズに所属していたセバスチャン・シアラウに、提携先の花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)で練習参加する機会が巡ってきた。「ラグビーを学びたい、上達したいという気持ちが強かった」とあふれる成長欲を抱いてサモア出身の18歳は異国の地へと旅立った。

最初は練習生として経験を積み、2023年には花園Lに正式加入した。だが、在籍2シーズンでリーグワンでの出場はなく、今年の5月に退団。若きバックスのユーティリティープレーヤーは「来てすぐ大好きになった」という日本でのプレーを望み、中国RRに移籍した。新天地には9月に合流し、「新しい環境で緊張したけれど、練習初日にヨガをしたのが面白くて最高だった」と順調にチームに馴染み、練習にも打ち込んできた。

広島に来て約4カ月、12月21日のシーズン開幕戦でスタメン入りを果たした。試合2日前にファーストジャージーを初めて手にしたセバスチャン・シアラウは、「とてもうれしい。これを手にするためにハードワークしてきた」と笑顔を見せた。

「あとはコーチやみんなに僕を起用したことが正しい決断だったと証明しないといけない。少し緊張しているけど、とても楽しみでもある。一歩ずつ前に進むだけだ」

試合前日に21歳になって迎えたデビュー戦。「グラウンドに出ると、緊張は飛んでいった。ただいいプレーをしようと考えていた」とラグビーに夢中だった。スタンドオフで出場し、前半38分にはタッチライン際の難しい位置から「いつも自信を持って蹴っているから不安はなかった」とコンバージョンキックを決めて初得点も記録した。

宿敵マツダスカイアクティブズ広島との開幕戦は26対61で大敗を喫し、苦いデビュー戦となった。だが、それもグラウンドで戦ったからこそ味わえた経験だ。「タフな試合だったけれど、プレーできて楽しかった。大事なシーズンを迎えられてうれしいし、僕のプレーを見せる機会が増えると思うから楽しみにしている」。そう話すセバスチャン・シアラウの笑顔には、戦いのアザが勲章のように刻まれていた。

日本での再挑戦は始まったばかりだ。セバスチャン・シアラウは、「今日の試合も大きな学びだったし、次に向けて改善していくだけだ」と海をも超える成長欲で前進する。「まだまだ上達しないといけないけど、目標は日本代表。日本が大好きだから」と大きな夢に向かって新たなスタートを切った。

(湊昂大)

中国電力レッドレグリオンズ


中国電力レッドレグリオンズの岩戸博和ヘッドコーチ(右)、西川太郎 共同キャプテン

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ

「まずはマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)の皆さま、またリーグ関係者の皆さま、本日はありがとうございました。試合の総括としては前半の結果がすべてだと思います。SA広島さんの素晴らしいアタックとわれわれの悪いディフェンスがかみ合ってしまったという印象でした。ブレイクダウンのところで相手の勢いあるアタックに対してうまくファイトできなかったところが前半の修正点で、そこはハーフタイムにも話をしました。僕としても最初の声掛けが甘かったですし、選手たちで修正し切れなかった部分もあると思うので、そこをあらためて選手たちに話をしていきたいです。

前半はしっかりやられたという印象で、後半は風上だったのもあってクロスゲームだったと思います。とはいえ、前半の風下のところであれだけ得点を取られると、タフなゲームになるのは選手自身も分かっていると思うので、2週間後の試合に向けて修正していきたいです」

──攻撃のチャンスが少なかった中で、相手陣の深くに入ったらトライを取り切る部分はプレシーズンの成果が出ていたと思いますが、どう捉えていますか?

「敵陣深くに行くまでのプロセスのところが、やっぱりまだ課題だと思います。敵陣深くに行けばトライを取って帰っていたので、そこまでのプロセスのところをもう1回見直して、もっと効率よく敵陣に入ってトライを取っていきたいと思います。そこは選手たちも理解していると思うので、われわれスタッフ側がもう1回落とし込みをしていきたいと思います」

──『広島ダービー』の開幕戦で大敗という形ですが、どう切り替えていきますか?

「僕自身もあまり想定してなかった展開だったので、そこをチームがどう修正して動くかなとは思っていました。ただ、これから約半年間、長いシーズンで積み重ねていく中で1個1個課題をクリアしていって、昨季最下位なのでどのチームに対してもチャレンジャーの気持ちを持って一つずつ勝ち星を重ねていくだけだと思います。『開幕戦でどん底を味わった』と、シーズンが終わってから言えるようにしたいです。しっかり経験値を積んで最後は笑えるように、僕自身ももっていきたいと思っていますし、選手たちもそういうマインドで次のゲームに挑んでもらいたいです」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン

「まずはSA広島の皆さんと今日来ていただいたファンの皆さん、本当にありがとうございました。たくさんの方が来てくれた中で残念な試合になってしまい、すごく申し訳ないです。試合の総括としては、相手の大きい外国籍選手に対してダブルタックルをしようと話していましたが、思った以上にSA広島さんのアタックの精度や勢いがあったので、受けに回ってしまいました。そこで自陣から脱出できずにアタックの時間がほとんどなく、ディフェンスばかりの時間が過ぎてペナルティを重ねて、前半は負のサイクルに入ってしまいました。後半は点差が開いていたのでもっとアタックマインドでやっていこうと話をして、スクラムなどで収穫はありましたが、前半の点差を縮めるのは簡単ではないと感じました。今日は開幕戦なので、チームには『始まったばかりなので落ちてもしょうがない。次の2週間後の試合に勝てるようにまた毎日積み重ねていこう』と話しました。まずはディフェンスのチームなので、ディフェンスのところをもう1回見直して次のゲーム臨みたいです」

──攻撃のチャンスが少なかった中で、相手陣の深くに入ったらトライを取り切る部分はプレシーズンの成果が出ていたと思いますが、どう捉えていますか?

「前半はほとんど敵陣深くに入っていなかったですが、後半は敵陣の奥に入ったらトライを取れたので、そこは評価できると思います。ただ、僕がラインアウトでキャッチミスをして、そこから1本トライを取られてしまい、試合を決めてしまったと思うのですごく悔しいです。そこの精度をもっと上げていかないといけないと思います」

──『広島ダービー』の開幕戦で大敗という形ですが、切り替えて次の試合に臨む上で選手たちにどう働きかけたいですか?

「僕たちはチャレンジャーなので、そこは忘れたらダメだと常に言ってきました。本当に毎日の取り組みでも、みんながエナジーを持ってやっていて、すごくいいチームになってきたからこそ、やっぱり勝たないと意味がないと僕は思っています。昨季もいい試合を何試合もして、『いい試合だったね』と言われるのはすごくうれしかったですが、やっぱり勝ってこそだと思っているので、勝利にどん欲にやっていきたいです。今日は『まだまだだぞ』とみんなが痛感したと思うので、あらためて頑張っていきたいです」

マツダスカイアクティブズ広島


マツダスカイアクティブズ広島のダミアン・カラウナ ヘッドコーチ(左)、芦田朋輝キャプテン

マツダスカイアクティブズ広島
ダミアン・カラウナ ヘッドコーチ

「思ったとおりに試合をスタートできました。スタートは計画どおりできましたが、後半の最初のほうにコントロールを失ったところがあったので、そこは修正するところがあると思います。後半の最後の20分はうまくいって試合を変えることができました。今日はいろいろと修正するところがあると思うので、映像をしっかり見て修正していきたいです」

──新体制で大勝スタートとなりましたが、率直な気持ちを教えてください。

「やっと開幕戦ができてすごくうれしいです。プレシーズンがかなり長かったので、すごく楽しみにしていました。いいスタートを切りましたが、今シーズンは長いシーズンになると思うので、一つひとつの試合をしっかり計画していきたいと思います」

──新加入選手が多く出場しました。新戦力の活躍をどう捉えていますか?

「新戦力を含めて全選手がすごく頑張ってくれましたし、60分間はかなり強いディフェンスができたと思います。特にフィジカルの部分でしっかりできたのが一番うれしかったです」

マツダスカイアクティブズ広島
芦田朋輝キャプテン

「本日はありがとうございました。キックオフから自分たちの準備してきたことが出せた結果が今日の勝利につながったと思います。ただ、自分たちの時間じゃないところもあったので、そこを80分間やりとおせるように課題を修正していきたいです」

──新体制で大勝スタートとなりましたが、率直な気持ちを教えてください。

「プレシーズンから準備してきたことが出せたので正直ホッとしています」

──新加入選手が多く出場しました。新戦力の活躍をどう捉えていますか?

「チームに勢いを与えてくれましたし、そこを起点としていろいろなラグビーが展開できたと思っています」