第41回ホープフルS(28日/GI、中山芝2000m)には、2戦2勝で東スポ杯2歳Sを制したキタサンブラック産駒のクロワデュノールや、同じく2戦2勝のドゥラメンテ産駒・マスカレードボール、札幌2歳Sでのちの阪神JF勝ち馬アルマヴェローチェを下したキズナ産駒のマジックサンズなど、1年の締めくくりにふさわしい素質馬がエントリー。

ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。

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■王道血統が順当に強さを発揮するレース

同名のOP特別だった時代はマイネルチャールズ(父ブライアンズタイム)、アリゼオ、サトノネプチューン、エアアンセム(いずれも父シンボリクリスエス)などロベルト系が強いレースだったのだが、2014年の重賞昇格後はディープインパクト産駒が4勝、ハーツクライ産駒及びその孫が3勝、キングカメハメハ系が3勝と、来年のクラシックを見据える王道血統が順当に強さを発揮するレースに変貌を遂げた。

マイルの朝日杯FSとの棲み分けが進み、皐月賞、ダービー路線を目指す有力馬が距離を求めてこちらへ矛先を向けるようになった結果だろう。奇をてらわずにクラシック血統を狙うイメージを持っておきたい。

■マジックサンズはバレークイーンの牝系が武器に

マジックサンズは札幌2歳Sを制したキズナ産駒で、母コナブリュワーズは芝短距離で4勝。祖母アンブロワーズは函館2歳Sの勝ち馬で、阪神JFの2着馬だ。

牝祖(4代母)バレークイーンは日本ダービー馬フサイチコンコルドや皐月賞馬アンライバルドを送り出し、その他にもヴィクトリーやリンカーン、アリストテレスなど活躍馬多数の牝系を築いた名繁殖牝馬。

サドラーズウェルズのフォルリとペティンゴのフェアトライアルを介してレディジュラー的な機動力を伝える傾向にあるのが特徴で、皐月賞を制したアンライバルドやヴィクトリーのように、この牝系の馬は小回りコースでパフォーマンスを上げる機動力型が多い傾向にある。

マジックサンズの前走札幌2歳Sも4コーナーで動いて勝負をつける内容で、あの機動力はまさしくバレークイーンの感。当然ながら中山替わりも問題なく、パフォーマンスレベルは上がりこそすれ、下がることはないと見る。

またバレークイーン牝系は「初めてのGI挑戦に強い」特徴がある。同牝系のGI戦歴を調べてみると、GI初挑戦時が【3.3.1.9】で複勝率43.8%に対し、2回目以降の挑戦だと【0.3.3.31】で複勝率15.0%に留まる。しかも2回目以降のGI挑戦で馬券になった6回のうち、実に5回がリンカーンによるものだったり。

フサイチコンコルド、ヴィクトリー、アンライバルドによるバレークイーン牝系のGIタイトルはいずれも初めてGIに挑戦した時であり、ほとんどのバレークイーン牝系はGI初挑戦時にしか好走できていないのだ。

一世一代の大駆けをファーストストライクから狙うのがこの牝系との付き合い方なのだとすれば、狙うべきタイミングはまさにここ。絶好の舞台でクロワデュノールを逆転する目も見ておきたい。

あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。

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著者プロフィール

ドクトル井上 【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。