9月20日、IFSCクライミング アジア選手権2017のリード女子決勝とボルダリング男子決勝がイラン・テヘランで行われ、リードは1位・尾上彩、2位・野口啓代、3位・小武芽生、ボルダリングは1位・藤井快、2位・緒方良行、3位・渡部桂太と、男…


 9月20日、IFSCクライミング アジア選手権2017のリード女子決勝とボルダリング男子決勝がイラン・テヘランで行われ、リードは1位・尾上彩、2位・野口啓代、3位・小武芽生、ボルダリングは1位・藤井快、2位・緒方良行、3位・渡部桂太と、男女共に日本人が表彰台を独占する結果となった。

 リード女子は予選から尾上、野口、小武の3人が両ルートを完登する好スタートを切る。しかし準決勝で尾上が21+地点でフォールし、あわや敗退と思われたが8位となりギリギリで決勝へ滑り込んだ。野口は37+と頭一つ抜けた高度で1位となり、小武も3位でファイナルへ進出した。

 迎えた最終ラウンド、先頭の尾上がいきなり41地点を記録する。TOPを目前にしてまだ余力がありながら、軸の右足がスリップしてしまい惜しくもフォールとなった。後続は30地点も越えられないなか、地元イランのエラン・レカビが37地点まで到達。小武も同じく37まで登ると、体勢を立て直そうとしたところで足を滑らせてしまう。最後を登る野口も37地点から手を伸ばすも落下。最後まで尾上は1位を守り、シニアクラスでの国際大会初優勝を勝ち取った。また同日は自身22回目の誕生日だったこともあり、喜びもひとしおだろう。

 続けて緒方、渡部、藤井、楢崎智亜が順当に決勝へ駒を進めていたボルダリング男子決勝。第1課題から完登者はその4人のみと、早くも日本人での優勝争いを予感させる。勝負の分かれ目となったのは第2課題。まずは世界ユース選手権で3つのメダルを獲得し好調な緒方が、第1課題から連続の一撃を決める。渡部はTOP手前まで迫るもボーナス止まり。藤井はスタート直後にスリップしてしまい一撃は逃してしまうものの2トライ目で完登。最後に登った楢崎はボーナスから先に進めず、藤井と緒方が一歩リードした。

 第3課題は再び完登で並び、最終課題で4人が3つの椅子を争う展開となった。ここで暫定首位だった緒方がスリップで4アテンプトを重ねてしまう。しかし全完登を完成させたことで、2位以上を決める。次の渡部は一撃で、アテンプト差で楢崎を上回るためこちらも3位以上が確定。そして5番手に登った藤井は2アテンプト以内で完登すれば優勝というなか、一撃に成功。アジア選手権初タイトルを手にした。4位には3完登の楢崎が入っている。

 男女ともに出場全選手が上位を占めアジアでもその強さを改めて証明したが、ボルダリング男子では今季W杯年間王者のチョン・ジョンウォン(韓国)、リード女子ではW杯暫定2位のキム・ジャイン(韓国)といった有力選手が不在の大会であったことは考慮しなければならないだろう。そして21日にはボルダリング女子準決勝・決勝、リード男子準決勝・決勝が控えており、どちらも全員が予選を通過している日本勢には再びの上位独占が期待される。

ボルダリング男子表彰台=左から緒方、藤井、渡部

<リード女子・決勝>

1位 尾上 彩(22)/41
2位 野口 啓代(28)/37+
3位 小武 芽生(20)/37
4位 エラン・レカビ(28/イラン)/37
5位 アブデュル・ローマ・シャリファ(24/インドネシア)/28+
6位 ラム・レンチン(26/中国)/26+
7位 ホンイン・リー(32/台湾)/25
8位 シウ・ルー・リン(23/台湾)/21+

<ボルダリング男子・決勝>

1位 藤井 快(24)/4t7 4b6
2位 緒方 良行(19)/4t8 4b6
3位 渡部 桂太(24)/3t6 4b6
4位 楢崎 智亜(21)/3t9 4b6
5位 ユーフェイ・パン(17/中国)/1t7 4b17
6位 ゴラームアリー・バラツアデウ(32/イラン)/0t 3b11

CREDITS

篠幸彦 /

写真

(公社)日本山岳・スポーツクライミング協会