4月「KKT杯バンテリンレディス」でツアー初優勝を飾り、11月の日米共催「TOTOジャパンクラシック」で8勝目。初の年間女王となった竹田麗央のプロ3年目のシーズンを語る時、しばしば引き合いに出されるのが不動裕理だ。2000年から6年連続賞…

2003年に10勝を挙げた不動裕理(左)と今季8勝の竹田麗央を数字で比較

4月「KKT杯バンテリンレディス」でツアー初優勝を飾り、11月の日米共催「TOTOジャパンクラシック」で8勝目。初の年間女王となった竹田麗央のプロ3年目のシーズンを語る時、しばしば引き合いに出されるのが不動裕理だ。

2000年から6年連続賞金女王、ツアー通算50勝、生涯獲得賞金13億7262万382円など1988年のツアー制施行後では圧倒的なキャリアを残す。ハイライトと呼べるシーズンは日本女子ゴルフ界史上、唯一無二の年間10勝を挙げた03年。今年の竹田はその“伝説”に近づいた。

では、2003年の不動と2024年の竹田では、どっちがすごかったのか?

時代は20年以上違う。クラブもボールもトーナメント開催コースも変わった。比較自体がナンセンスなのは百も承知だが、データから“夢の対決”の行方を探ってみた。

獲得賞金は竹田の“圧勝”だが…

ツアー年間最多獲得賞金を更新するシーズンに

まず賞金額を比べてみる。今季の竹田は史上最高額の2億6573万16円(出場32試合)。03年の不動はキャリアハイの1億4932万5679円(24試合)。竹田が約1億1640万円も上回る圧勝だが…これが最も比較しにくい。

例えば、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の看板大会「日本女子プロゴルフ選手権」の賞金総額は03年が7000万円で、今年は3倍近い2億円。2人は当該年でともに優勝しており、賞金は03年の不動が1260万円で、今年の竹田は3600万円だった。20年の月日を経て、賞金は飛躍的に上昇しており、それを思えば、1試合平均で830万円余りを稼いだ竹田に対し、622万円余りだった不動がむしろスゴかったと言えるかもしれない。

勝率は不動が脅威の勝率41.7%

竹田は出場32試合で8勝の勝率25%。4戦1勝ペースだから、とんでもない。ところが不動は、もっととんでもない。出場24試合で10勝の勝率41.7%。5戦弱で2勝ペースって…。

ちなみにトップ10率は23回の竹田が71.9%なのに対し、不動は20回の83.3%。竹田は予選落ちが4回、棄権が1回あって、不動はともに0回。竹田は試合数が多い分、トップ10が減り予選落ちが増えたのかもしれない。また、ツアー全体の選手層の厚みで言うなら、現在の方が上だろうし…。

不動はメルセデスランキング歴代3位相当

かつて年間シードを決める指標は「賞金ランキング」だったが、JLPGAは2012年から各大会の順位をポイント化する「メルセデスランキング」を導入し、算出方法の改訂を経て、22年から「メルセデス―」に一本化した。大会ごとで異なる賞金額をベースにした争いから、3日間大会(優勝200pt)、4日間大会(300pt)、国内メジャー(400pt)、海外メジャー(800pt)と配分ポイントを決定することで、よりフェアな制度になったと言える。それに伴い、シーズンNo.1の称号も「賞金女王」から「年間女王」にシフトされた。

竹田の今季獲得ポイントは歴代最高(2020―21年統合シーズンを除く)の3744.30pt。内訳は国内で3536.70pt(3日間大会4勝、4日間大会2勝、国内メジャー2勝など)、メジャーで207.60ptだった。

いまも存在感の大きさは変わらない

不動の03年当時は「メルセデス―」がなく、現在の基準でポイント化すると3353.47pt。今季の竹田、22年に年間女王を獲得した山下美夢有の3441.28ptに次ぐ歴代3位相当になる。内訳は国内で3275.47pt(3日間大会8勝、国内メジャー2勝など)、当時4試合だったメジャーは全米女子オープンのみに出場して20位(2人のタイ)で78ptだった。

ただ、ポイント化されフェアになった女王争いでも、やはり時代の違い、不公平感は残る。それは「4日間」「国内メジャー」大会数の差。今季は国内ツアー全37試合で「4日間大会」14試合、「国内メジャー」4試合だったが、03年シーズンは全30試合のうち「国内メジャー」は1つ少ない3試合、「4日間大会」は「サントリーレディス」と「ニチレイ ワールドレディス」の2試合だけ。もし「4日間大会」がもっと多ければ、不動の方が…という“たら話”は成り立つ。

部門別スタッツを比べてみると

当時の2人の主要な部門別スタッツは以下の通り。

【平均ストローク】 竹田=69.2378(2位)、不動=70.27271(1位)
【パーオン率】 竹田=77.2515%(1位)、不動=72.2944%(6位)
【平均パット数】 竹田=1.7519(3位)、不動=1.7615(1位)
【パーセーブ率】 竹田=90.7602%(2位)、不動=89.1053%(1位)
【リカバリー率】 竹田=69.1517%(7位)、不動=71.3542%(1位)

いろいろなデータを比較した、なかば無理やりな“夢対決”。「竹田はすごい」「いや、やっぱり不動だ」と意見は分かれるでしょうが、とりあえず“推定ドロー”ということでどうでしょう?