プロ通算403本塁打を放ったスラッガー・山﨑武司氏(元中日ほか)が、夏の甲子園を沸かせた強打者を徹底アナライズ。第…
プロ通算403本塁打を放ったスラッガー・山﨑武司氏(元中日ほか)が、夏の甲子園を沸かせた強打者を徹底アナライズ。第2弾は、逸材揃いと言われる2年生の強打者5名について分析してもらった。「甲子園100回大会」を目指すトップランナーたちを山﨑氏はどう見たのか?
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50メートル5秒8の足に加え、長打力も備える大阪桐蔭の藤原恭大
藤原恭大(大阪桐蔭高2年/左投左打/中堅手)
非常に面白い素材で、これからが楽しみですね。まずタイミングの取り方が上手。右足を上げてから軸足で粘れるし、右腰がまったく開かない。左投手相手でも苦にしない印象です。フォロースルーが大きいのも天性のものですから、打者として魅力です。これらのいい部分は今後も失わないでほしいですね。少し気になったのは、構えからしゃがみ過ぎかなと。下半身に力が入り過ぎて、下の体重移動がスムーズにできていないように見えます。大阪桐蔭といえばOBの森友哉、浅村栄斗(ともに西武)、中田翔(日本ハム)もしゃがみ込むタイプですが、その影響もあるのかもしれません。僕はもっとラクに構えてもいいのではないかと思います。

投手としても最速148キロをマークする大阪桐蔭の根尾昂
根尾昂(大阪桐蔭高2年/右投左打/右翼手)
藤原くんとともに、すごくいいバッティングをしますね。出色なのは手さばきの良さ。グリップに小指を掛ける打ち方は難しいのですが、彼はしっかり振りこなせている。さらに自分の体の幅のなかでバッティングしている点も見逃せません。体の前で泳いだり、体の後ろに差し込まれることが少ない。その上で大きなフォロースルーを取って強く振れますから、素晴らしい逸材です。現時点では体の反動を使って打っており、アクションがせわしなくなり、タイミングが合わない打席も目立ちます。でも、これから体に力がついてくれば、もっとゆったり柔らかくタイミングが取れるようになるはずです。

興南戦でセンター左に豪快な一発を叩き込んだ智弁和歌山・林晃汰
林晃汰(智辯和歌山高2年/右投左打/三塁手)
甲子園の左中間スタンドに放り込んだ本塁打を見ましたが、思わず「すげぇな」とつぶやいていました(笑)。自分のポイントまでうまく引き込んで打っていましたね。ただ、タイミングが合っているときはいいのですが、球が速かったり、キレのある投手に対しては自分でつかまえにいく傾向があります。今は高校生離れしたパワーで対応できるでしょうが、上体のあおりが大きいので、さらに上のレベルになればミスショットも増えるでしょう。今後は体にキレが出てくれば、バッティングが変わってくるはず。瞬発力が増せば、もっと安定して力が発揮できるようになるはずです。

強肩・強打の外野手として注目の万波中正。甲子園では投手としても146キロをマークした
万波中正(横浜高2年/右投右打/右翼手)
体が大きいこと、パワーがあることは誰の目にも明らかです。とはいえ、多くの方がお気づきでしょうが、バッティングがまだ雑だな……という印象です。現時点で特徴的なのは、ボールを迎える際にアゴが前に出て、それに伴って体も前に出て、そのバランスを取るために体を後ろへ戻しながらスイングにいくこと。体の動きが前後に入るため、ボールをつかまえられないのです。あとは右肩が先に開いて出るクセがある。この打ち方だと外のスライダーは視界から消えてしまうはず。これからバッティングの基本を学んで、遠くへ飛ばすためのバットの振り方を身につけていってほしいですね。

2年生ながら花咲徳栄の4番に座り、日本一に貢献した野村佑希
野村佑希(花咲徳栄高2年/右投右打/左翼手)
チームを甲子園優勝へと導いた4番打者ですが、特徴的なのは右手の押し込みが強いということ。花咲徳栄はハンマーを振り下ろすトレーニングをするそうですが、その影響もあるのかもしれませんね。本塁打を打ったシーンを見ましたが、ドンピシャのタイミングでしっかり捉えてスタンドまで運んでいます。ただ、現段階ではタイミングを外されて崩されると、もろさが出るかなという印象です。また、せっかくいい体を持っていますが、体の強さという点でまだ飛び抜けた資質を感じません。一冬越えてどう変わるか楽しみにしています。

夏の甲子園で15打数9安打、打率.600の好成績を残した明豊の濱田太貴
濱田太貴(明豊高2年/右投右打/左翼手)
体は小さい(173センチ)ですが、非常にいいスイングをする打者です。バットの出し方に関しては、今年見た高校生のなかで一番うまい。しっかりと内側からバットが出てきます。本塁打を打ったシーンでは、インコースをうまくさばいていたし、ライト前に運んだシーンでは、軸足で粘って強く捉えていました。バランスが素晴らしいですね。あまり体重移動をしない打ち方ですが、しっかりとバットを振れる上にうまさもある。あと1年でどれだけ伸びるか楽しみな選手ですね。
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「今年の2年生は粒ぞろい」という評判にたがわず、見ていてワクワクする素材がたくさんいました。特に大阪桐蔭の藤原くん、根尾くんはこれからの成長が楽しみです。大阪桐蔭には他にも2年生の逸材がいるそうですし、西谷浩一監督は非常にいい指導をされているなと感じます。
また、驚かされたという意味では濱田くんも挙げたいですね。普通、高校生の打者を見ていれば、1つや2つケチをつけたくなるものですが、それがないくらいバランスがいい。甲子園での活躍を自信にして、さらに打撃を追求してもらいたいです。
【フォトギャラリー】
山﨑武司が分析する「甲子園100回大会で見たい2年生スラッガー」