■“女王”に挑み善戦 12月11日、「第91回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンド・準々決勝が行われ…

■“女王”に挑み善戦


 12月11日、「第91回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンド・準々決勝が行われ、昨シーズンのWリーグ覇者である富士通レッドウェーブにトヨタ紡織サンシャインラビッツが挑んだ。

 試合の出だしで富士通に連続得点を許したトヨタ紡織は、開始1分20秒で0ー8とされる。しかし、「しっかり自分たちのルールを遂行しようとルーカス(モンデーロ)ヘッドコーチからも言われて、もう一度気持ちを入れ直した結果、少しずつ自分たちのペースになったと思います」と、都野七海が語るように、タイムアウト明けに都野が連続でシュートを決めると、これで落ち着きを取り戻し、じわりじわりと追随。第2クォーターでも前を行く富士通にしっかりとついていき、前半を29ー30で終えた。

 迎えた後半、第3クォーター序盤にトヨタ紡織は富士通を捉えることに成功する、そこからはシーソーゲームの様相に。しかし、トヨタ紡織は幾度となく逆転に成功したものの、第3クォーター終盤には3ポイントシュートを適時に決めた富士通に点差を広げられてしまう。そのまま第4クォーターでもリードは広げられ、最後は56ー69で力付きた。

■指揮官も期待「自分らしくプレーしていい」


「途中で逆転する場面もあったのですが、そこからの粘りが自分たちになかったので、そこで(富士通に)一気にやられてしまったと思います」と、この試合で12得点4アシストをマークした司令塔の都野は振り返った。

 都野は、膝関節痛により11月9日から約1カ月の期間で試合を欠場。復帰したのは12月8日の日立ハイテククーガーズ戦(Wリーグ)だったため、戦線に戻ってから間もない。そのためプレータイムには制限があり、この試合も19分強の出場に留まっている。「まだケガをする前ほどの力を発揮できてない」と言うが、それでも「プレータイムは限られていても自分の得点などできることはたくさんあると思うので、そこをしっかりやろうと思っています」とも力強く発する。

 大阪薫英女学院高校から入団して2年目。今シーズンはWリーグでは9試合に出場して7試合でスターターを務めている。「ルーカスヘッドコーチに自分らしくプレーしていいと言われていて、勝負どころで点を取ることは高校でしっかり磨いてもらったので、そこは出せているのかなと思います」と言うように、得点では1試合平均10.89点という数字も残している。

 身長159センチとWリーグの選手の中では小さいが、大阪薫英女学院高校時代から卓越したスキルとシュート力でそのハンディを補ってあまりあるほどの攻撃力を見せてきた。今シーズンはそんな『都野らしさ』を感じさせるプレーを随所に披露している。そんなシーズンについて都野は、「2年目でスタートとして出させてもらうことも多いのですが、これは当たり前ではないと思っています。チームのために、勝つために、自分の得点や今はゲームコントロールも任されてるので、そこをもっと追求して頑張っていきたいです。これから(Wリーグは)後半戦で、今シーズンはベスト4に入らないとプレーオフに行けないので、勝ちにこだわってやっていきたいです」と、抱負を語る。

■日本代表PGとの対戦から収穫


 当面の課題はアシスト。彼女の代名詞ともいえるフローターのシュートなどは健在なのだが、「シュートを打てないことが(高校と比べて)Wリーグでは多くなっているので、そういったところでもっと味方の動きを見てシュートを打ちやすいパス、アシストをやらないといけないのですが、今はまだ全然できてないので…」と言う。

 皇后杯の準々決勝では富士通の町田瑠唯とマッチアップし、「自分がオフェンスのときは町田さんのディフェンスがすごくハードで、前を向きたくても向けないときが多々あったので、自分もマネして、もっとプレッシャーかけていかないといけないと思いました。それと、ディフェンスでも町田さんのパスばかりを警戒していたらレイアップにいかれて。町田さんはどんなときも周りを見ているので、そこもマネしていきたいです」と、改めて日本を代表するガードから得たものは多かったようだ。

 そういった課題も収穫も含めて今シーズンは都野にとって学ぶことがたくさんあるシーズンを過ごしている。

 若手の成長が著しいトヨタ紡織。そのチームの希望の星ともいえる20歳の司令塔は、プレーオフ進出、その先の頂点に向けてこれからも「勝ち」にこだわったプレーで突き進んでいく。

取材・文=田島早苗