今月行われた全日本ボクシング選手権で女子フェザー級の山崎亜姫(拓大―札幌工)が初出場Vを成し遂げた。山崎が中学まで腕を磨いたのは岩見沢ボクシングクラブ。同クラブ出身で初の全日本チャンピオン誕生を励みに、総勢40人の道産子ボクサーたちがそれ…
今月行われた全日本ボクシング選手権で女子フェザー級の山崎亜姫(拓大―札幌工)が初出場Vを成し遂げた。山崎が中学まで腕を磨いたのは岩見沢ボクシングクラブ。同クラブ出身で初の全日本チャンピオン誕生を励みに、総勢40人の道産子ボクサーたちがそれぞれの目標へと“トライ”している。
山崎は岩見沢中央小5年から「ダイエット」を目的に競技を始め、光陵中3年まで岩見沢ボクシングクラブ(BC)で腕を磨いた。札幌工を経て拓大に進み、さらに成長。今月の全日本選手権で道勢女子10年ぶりの頂点に立った。同クラブから巣立ったボクサーでは男女通じて初のチャンピオン。先輩の偉業は雪国の後輩たちに熱波をもたらした。
山崎を育てた安川浩樹代表コーチ(50)は現役時代に全日本社会人で4回、国体で2回の優勝を誇るが、全日本選手権では準優勝と3位が各2回。“師匠超え”の快挙に「山崎に憧れて、自分も―と思う選手が出てきてくれれば」と喜び、期待を膨らませた。
2014年発足の岩見沢BCは6歳から68歳まで40人の選手が在籍。日本スポーツ協会公認指導者でもある安川コーチは「成長期はパワーより体をコントロールするバランスをいかに培うか」を重視し、遊びの要素も取り入れた練習メニューを組んでいる。「楽しいと思えることが大事。その中で目標が生まれ、その先に求めるものが出てくれば、どんどん手助けする」という方針だ。
そんな環境にひかれて、市内外から選手が集まる。札幌から通う川村凜さん(中1)は「いろんなフィジカル練習ができるから」と8月に妹・翠さん(小3)とともに入会。「練習はハードだけど楽しい」と将来の全日本女王を夢見る。細谷乃護(だいご)くん(小5)はサッカーとの二刀流。「本気でぶつかりあえるのがボクシングの面白さ。もっと強くなりたい」と拳を握った。
(石井 睦)
〇…小3から岩見沢BCに通う亀森茉莉さん(札幌工1年)は、「お姉ちゃんのような存在」と慕う山崎の高校の後輩。山崎からジャブの打ち方など技術を教わり、「後悔しないよう全力で戦う精神」も学んだという。9月の北海道女子ジュニア選手権ピン級で優勝し、今月18日開幕の全日本女子ジュニア選手権(滋賀県)に出場予定。“第2の山崎”に注目だ。