12月8日、川崎フロンターレは今季のリーグ最終節として、そして、鬼木達監督にとって最後のラストマッチとして等々力競技場…
12月8日、川崎フロンターレは今季のリーグ最終節として、そして、鬼木達監督にとって最後のラストマッチとして等々力競技場でアビスパ福岡と対戦する。
ついに最終戦を迎える。10月16日にクラブが鬼木監督の今季限りでの退任を発表したことで、残る公式戦は10試合となっていたが、ここまで9試合を消化。福岡戦が最後の試合となる。
当初は「まだ退任まで時間もある」の気持ちがあったが、いよいよという思いが強まっている。12月6日の練習後の取材対応では、「あと1日か……」と7日で最後となるトレーニングにも感情を動かせていた。それでも、試合へ挑む気持ちはいつもと変わらない。あくまで狙うのは勝利と、そして、攻撃サッカーだ。
指揮官はこの最終節を前に、選手に対して「とにかく自分たちらしく、戦おう」と呼びかける。そして、直近の試合での大量得点を例に挙げて、「3点、4点、5点といろんな形で点を取れてるし、それがやっぱり自分たちらしさだと思っている。最後の最後までそのスタイルを貫こう」とも選手に話している。
このクラブで掲げたタイトルは7つ。Jリーグ、天皇杯、ルヴァンカップの主要3タイトルをすべて網羅したうえでのもので、それをもたらしたのが攻撃サッカーだった。
現役を引退後のコーチ時代に深く追求することになったという攻撃サッカーは、「勝つことの重要性と、見ている人たちの心を揺さぶる」ためのもの。それを実現すべく、所属する選手に世界の最新戦術も反映させながら進化させてきた。このチームで見せたシステムの変遷は、その証だ。
■勝利を共有したい思い
常に周囲のために気を配る鬼木監督にとって、ラストマッチにかける思いは強い。選手に対しては「躍動させたい」と話せば、ふだんは表に出ないスタッフに対しての思いもある。常々、口にするようにサポーターへ熱い感情もあれば、6日の取材対応では番記者陣に対しても「やっぱり、勝ってるチームの取材をしたいじゃないですか。だから本当にそういう思いをしてほしかったので、悔しい思いもある」とまで明かしてくれた。
最終戦後、鬼木監督はサポーターを前に最後の挨拶を行う予定となっている。試合後は通常、選手と同じバスでクラブハウスに帰るが、この日は“別便”で出る予定。ラストマッチを最後の最後まで味わうための特別措置だ。
在籍8年間で「心残りな部分もある」という。それは、もっとタイトルが取れたという思い。日本人監督として最高位に立とうと、勝利への貪欲さと負けず嫌いの気持ちに揺らぎはない。
今季、タイトルを取ることはできなかった。それでも、勝つことの喜びを共有したい人がいる。選手、サポーター、スタッフ、そして番記者からも愛された名将が、等々力で最後の勝利をつかみ取る。
(取材・文/中地拓也)