RIZIN参戦を決めたガルシア(左)。その意図を彼のプロモーターを務める重役が明かした。(C)Getty Images 話題性は十分の“ビッグカード”が日の目を見た。 総合格闘技イベント「RIZIN」は、大晦日にさいたまスーパーアリーナで行…

RIZIN参戦を決めたガルシア(左)。その意図を彼のプロモーターを務める重役が明かした。(C)Getty Images

 話題性は十分の“ビッグカード”が日の目を見た。

 総合格闘技イベント「RIZIN」は、大晦日にさいたまスーパーアリーナで行われる「RIZIN DECADE」でプロボクシングの元WBC世界ライト級暫定王者のライアン・ガルシア(米国)と、元K-1王者の安保瑠輝也(MFL team CLUB es)の対戦を実現させた。

【動画】周囲も呆然のビールをがぶ飲み! 大幅体重超過後のガルシアの「奇行」

 現地時間11月26日には、ロスの高級住宅街ビバリーヒルズの屋外で対戦発表記者会見を実施。両雄からFワードも飛び交う緊張感が漂うバチバチの“前哨戦”は大いに華やいだ。

 全米でも小さくない注目を集める同カード。話題性が尽きない最大の要因は、やはりガルシアの参戦だろう。今年4月にWBC世界スーパーライト級王者デヴィン・ヘイニー(米国)に挑戦した26歳だったが、前日計量で約1.4キロの体重超過が判明。しかし、体重計の上でビールをラッパ飲み。単に「悪童」と呼ぶだけでは済まない傍若無人な態度を見せたのだ。

 その後、ヘイニー側が開催を受諾した試合では、計量無視のかいもあって3度のダウンを奪取。3-0で判定勝ちを収めたのだが、ドーピング検査で陽性反応が発覚。結局、試合そのものが無効試合となり、ニューヨークのコミッションから1年間の出場停止処分が下された。

 完全に問題児のレッテルを貼られているガルシア。1ラウンド2分の8ラウンド制となる今回の試合は、通常はスーパーライト級で戦っている彼が、安保に合わせて2階級上のスーパーウェルター級に相当する153パウンド(69.4キロ)に上げて戦う。

 リスクが伴う一戦だが、ガルシア陣営は意に介していない。米ボクシング専門サイト『Boxing Scene』の取材に応じたプロモーションを務める米大手『Golden Boy Promotions』のエリク・ゴメスCEOは「今、最終的な詳細を全て詰めているところだ」と断言。その上で、RIZIN参戦の意図を明かしている。

「ライアンのようなスターに戦ってもらえるのは日本にとっても素晴らしいことだろう。プロボクシングの試合ではないが、ちょっとは試合になると思っている。今の彼は全盛期だ。だからどちらかというとコンディションを維持するための試合になる。向こう(RIZIN)の希望を考えても“ウィンウィン”だろう」

「日本で屈辱を受け、打ちのめされると…」

 さらに「彼は出場停止処分を受けているが、その間に反省をしている」と強調。そして、「4月20日の出場停止期間が終わればいつでも(ボクシングに)復帰できる。今、一番心配しているのは大物選手たちと対戦できるかどうかだ」と安保戦の“先”を見据えた。

 もっとも、今回のRIZIN参戦には、ガルシア陣営の“御大”からは「待った」がかかっている。

 ゴメスCEOよりも上の決定権を持つ『Golden Boy Promotions』の最高責任者であるオスカー・デラホーヤ氏が以下の声明を出したのだ。

「ゴールデンボーイプロモーションズは、ライアン・ガルシアの試合の独占権を持っている。このイベントの主催者(RIZIN&FANMIO)はそのことを認め、このイベントを開催するには当社のサインが必要であることに書面で同意している。そのサインを得られていないため、現在、ライアン・ガルシアのイベントは開催されない」

 元世界6階級制覇王者のレジェンドでもあるデラホーヤ氏の発言は、陣営の取り分を大きくするための駆け引きの一環という見方もある。米ボクシング専門サイト『Boxing News24』は「アンポに痛めつけられることになれば、ガルシアの将来の戦いに悪影響を与える可能性がある。これはゴールデンボーイにとって良いことではない。日本で屈辱を受け、打ちのめされると、それはゴールデンボーイにとって大きなマイナスになるのだ」と推察している。

 好意的だったプロモーション側からの予期せぬクレームが入り、事態が二転三転している今回の異色試合は、果たして実現に至るのか。大晦日のゴングの瞬間まで開催か、中止かの予断を許さない状況は続きそうな気配だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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