ビジネス的には大きな成功を見たタイソンとジェイクのボクシングマッチ。しかし、その正当性は批判を受け続けている。(C)Getty Images 場内で飛び交ったブーイングが往年のレジェンドが挑んだ異色戦に対する率直な反響だった。 現地時間11…
ビジネス的には大きな成功を見たタイソンとジェイクのボクシングマッチ。しかし、その正当性は批判を受け続けている。(C)Getty Images
場内で飛び交ったブーイングが往年のレジェンドが挑んだ異色戦に対する率直な反響だった。
現地時間11月15日に米テキサス州アーリントンの「AT&Tスタジアム」で、元プロボクシング統一世界ヘビー級王者のマイク・タイソン(米国)が、YouTube登録者数2000万人以上の超人気YouTuber兼ボクサーのジェイク・ポール(米国)と対戦。約20年ぶりの公式戦のリングだったが、ジャッジ1者がフルマーク、残る2者も73-79という大差だった。
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採点結果自体は納得ではある。序盤は頭を振って飛び込みながらパンチを振るう往年の「ピーカブースタイル」を見せ、観衆を沸かせたタイソンだったが、見せ場はそこまで。百戦錬磨のレジェンドも58歳という年齢による運動量の低下には抗えず、2回には足が止まり、3回からは手数も激減した。
かたやジェイクもポイントを狙いに行く単発の攻撃に終始。両雄がアグレッシブさを欠く「凡戦」模様にファンも苛立ちを隠さず、4回を過ぎたあたりからブーイングが沸き起こる不穏な空気に。それでも試合状況は変わらず、終了のゴングが鳴った。
動画配信サービス『Netflix』で生配信され、入場料収入は1500万ドル(約23億1450万円)を超えるなど、ビジネス面では大きな成功を見た。さらに今回の一戦はテキサス州のボクシングコミッション公認の公式戦でもあった。しかし、タイソンが元世界王者とはいえ、31歳差の両者が殴り合うことを危険視する声は戦前から少なくなく、「スポーツとして正しいマッチメイクであったか」を批判する指摘が相次いでいる。
英スポーツ専門ラジオ局『talk SPORT』は、ジェイクが78発のパンチを当てたのに対し、タイソンがわずか18発のヒットに終わったデータをふまえ、「伝説が悲しい敗北を喫したこの試合は間違いなく、今年のボクシング界で最も物議を醸したイベントだ」と断言。そして、こう続けている。
「第4ラウンドに入る頃には、タイソンの安定性は失われ、防戦一方となり、早々と生き残るための戦いに入っていた。彼がYouTuberを相手に自分のペースを全く発揮できず、残り2ラウンドで疲れ果てた様子だったのは残念な光景だった。結局、試合はKOもなく無難に終わり、タイソンは退屈でつまらない、そして悲惨な試合を生き延びただけだった」
ジェイクとの対峙で世界的な話題性は生んだタイソン。自身過去最高となるファイトマネーを得たと言うレジェンドだが、ファンや業界関係者のネガティブな反響を見るに、同時にかつての名声を失ってしまった感は否めない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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