序盤はペースを握ったタイソン。しかし、体力的に有利なジェイクを前に衰えは隠しきれなかった。(C)Getty Images 歴史的な異色マッチは、わずかな歓声と小さくないブーイングが入り混じる中で終了した。【動画】いったいなぜ? 控室で尻を丸…
序盤はペースを握ったタイソン。しかし、体力的に有利なジェイクを前に衰えは隠しきれなかった。(C)Getty Images
歴史的な異色マッチは、わずかな歓声と小さくないブーイングが入り混じる中で終了した。
【動画】いったいなぜ? 控室で尻を丸出しにしたタイソンの珍場面
現地時間11月15日に米テキサス州アーリントンの「AT&Tスタジアム」で、元プロボクシング統一世界ヘビー級王者のマイク・タイソン(米国)が、YouTube登録者数2000万人以上の超人気YouTuber兼ボクサーのジェイク・ポール(米国)と対戦。1ラウンド2分の8回を戦い抜いたが、3-0の判定負けを喫した。
約20年ぶりに公式戦のリングに立ったタイソン。だが、さしものレジェンドも衰えは隠せなかった。31歳の年齢差などを考慮し、試合は通常の公式戦とは異なる1ラウンド2分に短縮され、グローブも通常よりも重い14オンス(約396グラム)が使用された。それでもジェイクの牙城は崩せなかった。
立ち上がりこそ代名詞だった「ピーカブースタイル」で低い姿勢からプレッシャーをかけ、ジャブやフックを振るった。だが、加齢による運動量の低下否めず、3回以降は明らかにスローダウン。対するジェイクは決定打こそ打てなかった終始余裕を見せながらの試合運びを見せた。
タイソンはフルラウンドをなんとか“完走”した。それでも、全盛期からかけ離れたパフォーマンスと、ジェイクが手堅くポイントを稼ぎに行った試合内容はエキサイティングと呼ぶにはほど遠い。ゆえに会場では試合途中からブーイングも飛び交った。
もっとも、この試合の生み出す収益は莫大なものが予想される。動画配信サービスNetflixで生配信されたことで一般層への宣伝効果も大きく、入場料収入は1500万ドル(約23億1450万円)を超えると見込まれ、ラスベガスでのメガマッチを除けば米国史上最大のボクシング興行になることは確実だ。
莫大なカネは生んだ。しかし、ボクシングというスポーツにおいて正しい興行なのか。X上で「凡戦」と揶揄されもしている試合結果を受け、業界の著名人たちもさまざまに意見を投じている。
ドジャースの共同オーナーを務める元NBAスターのマジック・ジョンソン氏は自身のXで「ただただ悲しい。もう見てられないから切った」「こんなマイク・タイソンを見るのは悲しい」と列挙。そして、「今夜の試合はボクシングにとっていいものではなかった」と断じた。
また、ボクシング界の伝説と言われるモハメド・アリ氏が祖父であったプロボクサーのニコ・アリ・ウォルシュは「ジェイク・ポールはこのスポーツの恥さらしだ。私の祖父がまだ生きていたら、彼を罵倒していただろう。恥も外聞もない」と糾弾。
さらに英公共放送『BBC』の記者で、現場取材を行っていたカル・サシャド氏は「最終回を迎える前にタイソンのタンクは空っぽだった」と試合を分析。その上で「試合を終えた二人はブーイングで迎え入れられた。そして結果が出る前にファンはすでに帰路についている。会場にはイライラしている人がたくさんいる。当然だ」と辛辣に伝えた。
「公式戦」とされた今回の試合開催をめぐる論争はしばらく続きそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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