■2度目の決戦「入っていけなかった」 三笘薫にとってキャリア2度目となるアンフィールドでの決戦は、不完全燃焼で終わった。自らのパスが先制点の起点となったものの、チームは1−2で逆転負け。 イングランド代表DFトレント・アレクサン…
■2度目の決戦「入っていけなかった」
三笘薫にとってキャリア2度目となるアンフィールドでの決戦は、不完全燃焼で終わった。自らのパスが先制点の起点となったものの、チームは1−2で逆転負け。
イングランド代表DFトレント・アレクサンダー=アーノルドとのマッチアップでも、勝利した場面もあれば、封じられる場面もあった。1試合全体で考えればイングランド代表にかなり手を焼いた印象で、三笘は思うように突破できなかった。
彼とのマッチアップを振り返ると、これまで三笘が圧倒する試合のほうが多かった。ブライトン加入1年目のアンフィールドでの試合(3−3でドロー)では、三笘がドリブル突破でイングランド代表に尻もちをつかせるなど翻弄。そのシーズンのホームゲーム(3−0で勝利)でも、積極的な仕掛けで終始相手を苦しめ、英紙デーリー・エクスプレスから「三笘の爆発的な速さは、リバプールにとって大きな問題だった」と手放しで褒められた。
しかし、今回の対戦は、これまでと同じようにいかなかった。
前半20分のように、三笘がスペースに飛び出し、彼を置き去りにした場面もあった。だが、前半13分や後半30分では、イングランド代表が三笘との間合いを詰めてブロック。三笘がアクションを起こす前に、一気に寄せて潰しにかかった。
突破を図る三笘を、彼が手を上手に使ってブロックする場面もあり、試合全体ではアレクサンダー=アーノルドの守備対応が光るシーンのほうが多かった。
試合後、三笘はマッチアップについて次のように語った。
「彼が、自分をスピードに乗せないようにしていたとこもありますけど、僕が前向いて、スペースに出て行けるとこもありました。もう1個(前や中に)入っていければよかったですけど、入っていけなかった。ただ、シュートシーンもありましたし、そこで決め切ればいい話です」
(記者:アレクサンダー=アーノルドに対策を取られていたように感じたか)
「いや、そんなことないです。前の対戦でも、距離感を近くしてやってきましたし。彼は守備のところの考え方だったり、自信が増していると思うので、 そこはあると思います」
三笘としては対策を練られたように感じず、相手の守備力が向上したとの印象を抱いたようだ。実際、英メディアでもこれまで課題とされてきたイングランド代表DFの守備力が改善傾向にあるとの指摘は多い。今回は、アレクサンダー=アーノルドに軍配が上がったと、そう言えるだろう。
■「違いを感じた」最後のクオリティ
チームとしても強豪リバプールに苦戦した。上位進出を目指すブライトンと、首位に立つリバプールの差はどこにあるか。三笘は言う。
「最後のクオリティのところで違いを感じた。やっぱり、ワンチャンスで決めきれるところは素晴らしいものがありました。そこは見習わないといけない」
リバプールの2点目は、ブライトンが前掛かりになったところを突かれた。人数をかけて攻撃を仕掛けたタイミングでボールを奪われ、カウンターを受ける形になった。思えば、前節ウォルバーハンプトン戦(2−2)でも似たような形から失点し、勝ち点を落としている。この点について聞いてみると、三笘はチーム全体の責任としつつ、攻撃陣がゴールやシュートでプレーを終わらせる必要があると話した。
「(攻撃を最後まで)やりきってしまえばいい話なので、攻撃陣の責任もあります。守備陣としてもスペースが空いて、準備しきれないところがある。どっちにも責任はあります。 こちらのカウンターから、相手のカウンターの形になったので、前線の責任はあると思います」
先制点の起点となった自身のパスについては、「(自分がパスを受ける前に)逆サイドでうまく敵を引きつけてくれた。おかげで、自分が前を向けた。2選手が食いついてきて、逆サイドがフリーになっているのが見えていた。自分で行くよりパスを出したのは、良い判断だったと思います。フェルディ・カドゥオールのシュートも、素晴らしいクオリティでした」と振り返った。
そして、1点を追いかける後半42分に、三笘は途中交代となった。攻撃参加するアレクサンダー=アーノルドのマークで自陣深くまで下がり、ボールを奪えば、今度はスプリントして相手ゴールまで走った。体力的には相当きつい試合になったが、三笘は「いや、まだ全然できました」と平然と言う。そして、反省の言葉を口にした。
「もっと中に入っていくところだったり、 前半のような守備がもっとできればよかった。後半は相手にボールを持たれ、上下動させられた。前に行くとこができなかったですね」
■遠藤は「素晴らしいプレーをした」
なおこの試合では、リバプールの遠藤航との日本人対決が実現した。
ベンチスタートの遠藤は後半32分から途中出場。三笘が後半42分に退いたことから、2人がピッチに立ったのは10分程度だったが、試合後に抱擁を交わしてお互いの健闘を称え合った。
中盤で力強いボール奪取を見せた遠藤について、三笘は「彼に潰されるところもあった。(遠藤は)素晴らしいプレーしていた」と称賛した。しかし向上心の強い三笘らしく、日本人対決が実現した嬉しさよりも「自分たちのプレーの反省のほうが多いです」とコメント。悔しさを胸にアンフィールドを後にした。