セ・リーグのクライマックス・シリーズ(CS)争いが熾烈をきわめている。 9月12日の時点で、DeNAは4位の巨人と…
セ・リーグのクライマックス・シリーズ(CS)争いが熾烈をきわめている。
9月12日の時点で、DeNAは4位の巨人と0.5ゲーム差なしの3位。
「非常に厳しい状況。相手がどうあれ、DeNAは総力戦で勝ち続けなくてはいけない」
こう危機感をあらわにするのは、ベイスターズOBで評論家の野村弘樹氏だ。
「(9月)8日からの阪神タイガース戦で3連敗を喫して状況は一変しました。私としては24日からの阪神との5連戦が勝負だと思っていたのですが、もはや巨人にピタリとつけられていることを考えれば、今後、簡単にゲームを落とすことはできません」

野村弘樹氏がキーマンに推すDeNAの井納翔一
ではDeNAはどう戦っていけばいいのか。野村氏は大胆な提言をする。
「打撃に関しては筒香(嘉智)が打つか打たないかでベンチの雰囲気が変わるので、彼にかかっているところは大きい。とはいえ、攻めの姿勢を見せる意味でも、やはり重要なのは投手陣になると思います。あくまでも私個人の考えですが、残り16試合なのですから、ここは先発の枚数を減らして、不安があるブルペンを厚くすることが求められます。たとえば、比較的安定しているウィーランドを中4日でまわし、今永(昇太)や石田(健大)などを中5日で登板させる。なかでもキーマンになるのは、今シーズン力を発揮できていない井納(翔一)です。現在、井納は5勝9敗ですが、本来なら最低でも勝敗が逆になっていなければいけない。若いサウスポーの先発が多いなか、右の日本人ピッチャーとしてチームの士気を高めるためにもシーズン最後にしっかりと仕事をしてほしい」
ラミレス監督もウィーランドを中心に登板間隔を狭めることを示唆しているが、経験の少ない若い投手たちが適応できるか心配だ。
「勝手な意見だとはわかっていますが、ここは引くことのできない勝負どころなので、一気に攻めていくしかない。はたしてどこまで腹をくくることができるのか。しっかりと選手たちに状況を伝えれば、選手は頑張れるはずです」
そして野村氏は熱を込め、こう続ける。
「内容よりも勝ちを優先する。理想は今シーズンを2位で終え、横浜スタジアムでCSを戦うこと。そういった姿をファンに見せて、初めてチームとして成長できたのだと思うんです。厳しいですが、もうやるしかないです」
一方、現在DeNAと6ゲーム差、巨人とは6.5ゲーム差をつけ2位をキープしている阪神だが、球団OBで評論家の藪恵壹氏は、警戒すべきはDeNAではなく巨人だと断言する。
「DeNAに関しては5連戦を残していますが、今シーズンの戦いを考えれば苦手意識はないので十分乗り切れると思います。私としては、現在のゲーム差を考えれば最終的に2位でフィニッシュできると読んでいますが、懸念があるとすれば巨人との戦いです。ここまで8勝11敗1分と負け越していますし、巨人の先発には菅野(智之)、マイコラス、田口(麗斗)の強力なラインナップに加え、ルーキーの畠(世周)が台頭しました。さらに畠同様に宇佐見(真吾)という新戦力も成長してきていますし、彼らの働きもあって前半戦とは違うチームであることは明らかです」
また、阪神は下位のヤクルトと中日と残り3試合なのに対し、巨人は10試合を残している。ここがどう影響するのかも気になるところだ。
「阪神としたら、この3試合は絶対に取りこぼせない。仮に巨人戦に連敗し、大型連敗を喫してしまうと一気に差が縮まることになります。とにかく連敗をしないこと。これが阪神の至上命題になります」
では、CS争いを乗り切るための阪神のキーマンは誰になるのか。
「打線に関しては、ベテランは言われなくてもやるでしょうから、やはり若手の大山(悠輔)や中谷(将太)がいかに打つかがポイントになるでしょうね。まだ波はありますが、長打力のある彼らが打てば得点力は間違いなく上がりますし、起用しつづけてくれる金本監督の期待に応えたいという気持ちも強いはず」
激しい競争を強いられた若手の成長が今シーズンの阪神好調の原動力となっているのは間違いない。一方、投手陣であるがCS争いはもちろん、その先のポストシーズンを見越して、藪氏はある投手の復活が必要不可欠だと力説する。
「現在メッセンジャーが戦線離脱し、頼りになる先発は秋山(拓巳)ぐらいしかいない。ここはやはり藤浪(晋太郎)の奮起に期待したい。5月4日以来勝ち星がなく、一時、制球難でローテーションを外れましたが、私は外すべきではないと思っていました。私の経験から言うと、彼のようなタイプは下で調整したからといって劇的に変わるわけではない。一軍のマウンドで失った自信は、同じ場所でしか取り戻せないですから」
そして続けた。
「不調の原因はひとつではないと思いますが、一番はメンタルでしょう。ボールが抜けるのを怖がるあまり、思い切って腕が振れない。その結果、バランスを崩してしまう。ピッチャーをやっていれば球が抜けることなんてたくさんあるわけですし、ある程度の開き直りは必要だと思いますね。藤浪が戦力として戻れば、シーズン終盤はもちろん、CSでも秘密兵器になってくれる。たしかに負けられない大事な戦いは続きますが、私は藤浪を今後ローテーションから外すべきではないと思います」
CS争いにおいて頭ひとつ抜け出した阪神と、それを追走するDeNAと巨人。残り約15試合。各球団、思惑や戦術を胸の内に秘め、本当の勝負がここから始まる。