『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(11)群馬グリーンウイングス 道下ひなの(連載10:164cmの「小さな巨人」グリーンウイングス髙相みな実が語る、コートでの「最高」の瞬間>>)(c)古舘春一/集英社「(北海道という土地柄、習いごと…
『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(11)
群馬グリーンウイングス 道下ひなの
(連載10:164cmの「小さな巨人」グリーンウイングス髙相みな実が語る、コートでの「最高」の瞬間>>)
(c)古舘春一/集英社
「(北海道という土地柄、習いごとは)スピードスケートやアイスホッケーが候補に挙がって、親もやっていたんですが『教えたくない』って(笑)。それで残ったのがバレーボールでした。ジャズダンスも一緒に習っていた友達もやるからと」
最初は、ありふれた理由だった。しかし、道下ひなのはバレーボールに導かれるような人生を送っている。
北海道、帯広市に生まれた道下は、幼い頃から同年代の子供たちと比べると長身だった。ポジションは「とりあえずレフト」。スパイクを打って、点を取ることに喜びを感じた。
分岐点は中学2年の時。長身ということもあって、北海道選抜に招集された。
「バレーでは有利な、身長が高い選手たちと出会うことができて。ただ打つんじゃなくて、どう打ったら高さが出て、どうボールを見ているのか。そういったことを教えてもらえたのが楽しかったです」
その出会いが決定打となり、バレーボールで身を立てる決心をした。帯広の中学から札幌の高校に進学。大学は神戸と、親元を離れて実力をつけ、Vリーグは富山のKUROBEアクアフェアリーズに入団。2022年に群馬グリーンウイングスに移籍と、さまざまな都市を巡ってきた。
ミドルブロッカーが彼女の"居場所"だった。ブロック、クイックが主な仕事で、サイドの選手に打たせるために囮になって何度も跳ぶ。周りを生かすため、"サボれない"仕事を担う。
「出会えてよかったポジションです」
道下は天真爛漫な笑顔で言う。
「『ミドルブロッカーの調子がよくても悪くても、勝敗は左右しない』と言われることもあります。初めて見た人は、『あまり点を取らないし、何をしているんだ』と思うかもしれません。でも、自分たちの働きで、セッターもサイドも生かせるんです。ボールに触っていなくても、1点に関われるのがやりがいですね。ハードワークしないといけませんし、奥が深いポジションで、スキルを伸ばしていけば点に関われるチャンスも多くなります」
ミドルブロッカーとして恍惚を覚える瞬間がある。
「『よっしゃー!』と思う瞬間は、(攻撃の際に)自分に対して思いきりブロッカーが飛んだときですね。それくらい存在感を出せたということですし、そこで決められたらさらにうれしい。囮だった場合も、(相手が自分に対してブロックにきたら)サイドには間に合わないので、それで決めてくれたらうれしいです。そういう景色がたくさん見られるように、存在感を出していきたいですね」
外国人選手には、身長差を生かされて上から打たれることも少なくない。しかし、とにかく食らいつく。ラリーを続け、自分がチャンスをもらって決められたら、全身の血が騒ぐ。
「ミドルブロッカーは自分の性格に合っていると思います。自分からガンガンいくよりは、一歩下がって俯瞰するタイプなので。試合の状況次第で、何ができるかを考えるのが好きです」
道下は、コートで答えを探し続ける。
【道下が語る『ハイキュー‼』の魅力】
――『ハイキュー‼』、作品の魅力は?
「競技の再現度が高いことですね。春高の東京体育館の描き方とか、春高予選の独特の雰囲気とかも"まんま"です。自分も春高のベスト8、相手が全校応援で"どアウエー"を経験したことがあるので、烏野のメンバーと同じ気持ちになりました(笑)。当時の自分を思い出してワクワクします。
日向(翔陽)と影山(飛雄)のコンビの速さは人間離れしていますが(笑)、夢を描いてくれている感じ。いつかやってみたいことの最高潮を漫画で描いてくれているので夢中になります!」
――共感や学んだことは?
「ツッキー(月島蛍)は最初、全然バレーが好きじゃないんですけど、春高予選の白鳥沢戦で初めてブロックに手応えを感じる。その"ハマる瞬間"を見ると、自分もそういうことがあったなって思いましたね」
――印象に残った名言は?
「春高の予選、白鳥沢戦で負けそうな時、烏養(繋心)コーチが『下向くんじゃねえええええ!!! バレーは!!! 常に上を向くスポーツだ』って言うんですけど、あのシーンは感動的でした。日向の『負けたくないことに意味っている?』って言葉も刺さりますね」
――好きなキャラクター、ベスト3は?
「"推し"は音駒なので、1位が(孤爪)研磨、2位がクロ(黒尾鉄朗)ですね。研磨はやる気がないように見えて、実はバレーが好き。"ゴミ捨て場の決戦"の最後に、研磨がクロに『俺にバレーボール教えてくれてありがとう』って言うシーンは泣けます。劇場版も音駒側の気持ちで観ていました(笑)。日向の言葉も刺さるものが多くて心が動かされるので、3位は日向です」
――ベストゲームは?
「烏野と音駒の試合ですが、烏野と稲荷崎の試合もいいですね。特に北(信介)さんがいいんですよ! バレーは日々の行ないが本当にコートに出て、積み上げてきたものしかコートに出せない。だから、北さんの『喝采は要らん ちゃんとやんねん』というセリフも好きです。試合で普段通りにやるのが難しくて、それができる人が強いので、北さんは最強です!」
【プロフィール】
道下ひなの(みちした・ひなの)
所属:群馬グリーンウイングス
1997年12月23日生まれ、北海道出身。 176cm・ミドルブロッカー。小学2年の時にバレーボールを始め、札幌山の手高校時代には春高バレーやインターハイに出場した。神戸親和女子大学を経て、2020年にKUROBEアクアフェアリーズに入団。2022年に群馬グリーンウイングスに移籍した。