10月22日から27日の6日間、国立代々木競技場第一体育館で「ヒューリック・ダイハツJapanパラバドミントン国際大会2024」が開催された。BWF(世界バドミントン連盟)公認である本大会は、2017年に初開催され、今回で5回目の開催となる…

10月22日から27日の6日間、国立代々木競技場第一体育館で「ヒューリック・ダイハツJapanパラバドミントン国際大会2024」が開催された。

BWF(世界バドミントン連盟)公認である本大会は、2017年に初開催され、今回で5回目の開催となる。最高峰のパリパラリンピック直後の時期であり、中国、タイ、マレーシアなど不在の強豪国も多かったが、2年後の「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」でメダルを獲得するであろうインドなど強豪国の選手も来日した。

国立代々木競技場第一体育館は東京2020パラリンピックのバドミントン会場でもあるphoto by Atsushi Mihara

日本からは22人がエントリー。パリパラリンピック代表12人を含む強化指定選手、「JPC次世代アスリート」育成強化選手、東京2020パラリンピック以降の競技⼈⼝の拡⼤などを目的とした⽇本パラバドミントン連盟の育成事業「パラバドアカデミー」選手が出場した。ここでは、フレッシュな選手たちの奮闘を追う。

若手が躍動

パラバドアカデミーの第1期生であるWH1の友寄星名 (2006年生まれ)は、準決勝でパラリンピック2連覇の里見紗李奈に敗れた。それでも、準々決勝でポーランドの選手に勝利したことが自信になった。「自分のなかでは初めてメダルが獲れるか獲れないかという試合。勝ててよかった」と振り返った。今大会の経験がパラリンピック出場という目標に向けて大きなステップアップになるに違いない。

photo by Haruo Wanibe

SL4の中村鈴(2007年生まれ)は、今大会が初の世界大会だった。「緊張で手が震えた」という経験も糧にして予選を勝ち上がり、準々決勝で同クラスの第一人者・藤野遼に敗れた。

日本選手権では1点しか取れなかったこともある相手に各ゲーム7点を取って成長を示した。

中学時代は駅伝部。高校生になってバドミントンを始め、2年生のときにパラバドミントンの世界へ。

「(自分の長所もなにもかも、始めたばかりで)わからない。この大会でSL4の選手のショットを見て、(拠点である)福岡に持って帰り、打てるように練習したいです」

照れ笑いを浮かべながら、取材に応じてくれた。

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SL3の女子にも、パラリンピックを目指す若手がいる。昨年から本格的にパラバドミントンを始めた大学生の武田佳乃(2003年生まれ)は、左足に装具を使用してプレー。初出場だった前回大会は全敗だったが、世界選手権女王のオクサナ・コジナ(ウクライナ)に「もっと強くなれるよ」と声をかけられ、奮起したという。

同種目は、総当たりの結果、2勝2敗で3位に。「トップ選手はミスが少ない」と感じた。それぞれ異なる障がいの選手はもちろん、健常のトップ選手のプレーを研究し、次の大会に挑むつもりだ。

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低身長クラスも増加

3人が出場したSH6は、女子の杉本沙弥佳(2004年生まれ)が4位に入った。高校入学時に部活でバドミントンを始め、その仲間がパラバドミントンを勧めてくれたという杉本。

「女子があまりいないので世界で強くなりたい。強い国の選手のスマッシュは取れないときがあるのでそこをがんばりたいです」

今大会で初めて日本代表ウエアに身を包み、緊張感もありながら、応援される喜びと同じ低身長の選手と渡り合う楽しさを全身に感じたようだ。

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このクラスで孤軍奮闘してきた畠山洋平は、伸び盛りの上野智哉も含めて3選手がエントリーしたことについて「少しずつ選手が増えている実感があり、嬉しく思いながら試合に臨んだ」と表情を緩める。

「低身長クラスにも(難しいとされていた)強打の選手がいっぱいいる。パリパラリンピックからは健常と変わらない感じで、速い球や力強いショットが主流になってきている」と畠山。世界のレベルは高いが、2028年ロサンゼルスパラリンピックで同クラス初の日本代表が誕生するか、注目したい。

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世代交代が進む!?

パラリンピックの舞台でメダルを獲得してきた日本のトップ選手が続々と代表引退を表明。そんななか、日本人対決となった女子SL4の決勝は、澤田詩歩(2003年生まれ)が藤野を2-1で下して初優勝を果たした。

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「プレッシャーはあるが、勝たなければいけない」

決勝前に背負っているものの重荷をのぞかせていた次世代ヒロインの筆頭、澤田は見事、期待に応えた。

また、今年1月の日本障がい者バドミントン選手権大会で男子WH1を制した、西村啓汰が「猛者揃い」と話す同クラスシングルスは、ベスト4を日本勢が独占。昨年、WH2からWH1にクラス変更し、今大会の「台風の目」大山廉織が予選から評判通りの強さを発揮して決勝へ。しかし、ベテラン村山浩の前にフルゲームで屈し、優勝はならなかった。

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他国も世代交代が進む中、日本はどんな道を進むのか。パリパラリンピックは終わったが、世界選手権、愛知・名古屋のアジアパラ、ロサンゼルスパラリンピックと戦いは続く。

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text by Asuka Senaga

key visual by Haruo Wanibe