【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬【ゴールドアリュー…
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【ゴールドアリュール】
芝でも日本ダービー5着となった実力馬。ダートに転向後はジャパンダートダービー、ダービーグランプリ、東京大賞典、フェブラリーSと4つのGI級競走を制覇し、敵なしの状態でした。
父サンデーサイレンスは芝向きの種牡馬で、芝とダートの勝利数の割合は約8対2。息子のゴールドアリュールはほぼ真逆の1対9。わが国を代表するパワー型種牡馬となりました。
2010年代は、キングカメハメハとダート路線を牽引し、全日本ダート種牡馬ランキング(中央ダート+地方)では、2011年から6年連続でこの2頭が1、2位を占めました。
エスポワールシチー、スマートファルコン、コパノリッキー、ゴールドドリーム、クリソベリルといった代表産駒はビッグレースを勝ちまくり、とくに東京ダ1600mで重賞を9勝。この数字は歴代トップで、なおかつ2位の3倍という突出した成績です。サンデー系だけあって長い直線をしっかり伸びきる馬が目につき、同じく直線が長い大井コース(東京大賞典、帝王賞、ジャパンダートダービーなど)での活躍ぶりも目立ちました。
母の父としてはオメガパフューム、ラムジェットなどが出ています。
◆血統に関する疑問にズバリ回答!
「アルゼンチン血統はなぜ近年活躍馬を多数輩出する?」
日本と同じく芝・ダート双方で競馬が行われ、芝は高速決着になりやすい硬めの馬場で行われます。アルゼンチンを代表するサンイシドロ競馬場の芝1600mのレコードタイムは1分31秒0。芝2400mは2分21秒98。日本とほとんど変わりません。
ちょうど地球の真裏に位置し、温暖湿潤で四季があるという日本と似た気候なので、馬場も似ており、速いタイムに対応可能な血統が発展しています。そうした点が日本競馬にフィットする大きな理由でしょう。
また、トップクラスの牝馬は、セリを通すことなくエージェントを通じて日本の牧場に入ってくることが多いのですが、たとえば同じG1牝馬を比較すると、その価格は北米やヨーロッパの牝馬よりも総じてリーズナブルです。買い求めやすいため、結果的に多くの牝馬が流入することにつながっています。この点も見逃せません。
サンデーサイレンスの2代母の父モンパルナスはアルゼンチン産馬。サンデーが伝える芝適性は、スタミナ型の芝血統であるモンパルナスに負う部分が大きいと思われます。
アルゼンチン共和国杯の勝ち馬のなかでアルゼンチン血統を抱えたものは、サンデーサイレンスの子孫を除けば、トースト(1964年)、ゴーゴーゼット(1995年)、サンライズジェガー(2002年)などがいます。