“1日1個のりんごで医者いらず”と呼ばれるリンゴ。すごい栄養がギュッと詰まっているのです。皮を剝かず、サッと切るだけで丸ごと食べることができる手軽さも魅力です。本記事では、リンゴの栄養価や、毎日食べ続けるとどんなメリットが期待できるのか、紐…
“1日1個のりんごで医者いらず”と呼ばれるリンゴ。すごい栄養がギュッと詰まっているのです。皮を剝かず、サッと切るだけで丸ごと食べることができる手軽さも魅力です。本記事では、リンゴの栄養価や、毎日食べ続けるとどんなメリットが期待できるのか、紐解いていきます。
監修は、「千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック・健診プラザ」の管理栄養士・大野奈穂さんです。
リンゴ1個のおもな栄養素とカロリー
リンゴは水分、ビタミンや食物繊維が豊富で、健康にいい果物のひとつです。1個あたりのカロリーや栄養を見ていきましょう。
リンゴ 大1個(300g)の主な栄養素とカロリーエネルギー:159kcal
水分:252.3g
たんぱく質:0.3g
脂質:0.6g
炭水化物:39g
糖質:37.2g
食物繊維:4.2g
カリウム:360mg
葉酸:6μg
ビオチン:1.5μg
ビタミンC:12mg
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
リンゴを毎日食べることで期待できるメリット
リンゴを毎日食べることで、いくつかの健康効果が期待できます。
腸内環境の改善リンゴには水溶性と不溶性の食物繊維が含まれており、腸内環境の改善に役立ちます。
とくに、水溶性食物繊維であるペクチンが腸内で善玉菌の餌となり、腸内フローラを整える効果があります。これにより便秘の予防や改善が期待できます。
心臓病や高血圧のリスク軽減リンゴに豊富に含まれるカリウムは、体内の余分なナトリウムを排出し、血圧を正常に保つ働きがあります。これによりむくみの解消や血圧の管理に役立ちます。
さらに、リンゴに含まれるポリフェノールが血管を保護し、心血管系の健康を促進するため、心臓病や高血圧のリスクを軽減する効果が期待されます。
免疫力をサポートするリンゴに含まれるビタミンCは、免疫力のサポートにもつながります。ビタミンCは白血球の働きを活性化させ、体内のウイルスや細菌と戦う力を強化します。そのため、風邪や感染症にかかりにくくなるとされています。
また、リンゴのポリフェノールの一種である「ケルセチン」は、インフルエンザ予防に良い影響を及ぼすという研究もあります。(※)
(※)J M Davis 1, E A Murphy, J L McClellan, M D Carmichael, J D Gangemi,『Quercetin reduces susceptibility to influenza infection following stressful exercise』, American journal of physiology, 2008 Aug;295(2):R505-9. doi: 10.1152/ajpregu.90319.2008. Epub 2008 Jun 25.
抗酸化作用による老化防止リンゴに含まれるポリフェノールやビタミンCは強力な抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を抑制します。
これにより、細胞の老化を防ぎ、肌の健康を保つ効果が期待できます。また、抗酸化物質は生活習慣病の予防にも役立ちます。
血糖値の安定リンゴに含まれる食物繊維は、食後の血糖値の急上昇を抑える働きがあります。とくに水溶性食物繊維のペクチンが血糖値のコントロールを助け、糖尿病の予防や管理に効果的です。
とはいえ食べ過ぎには要注意。果糖は血糖値の急激な上昇を抑える効果がありますが、過剰摂取は糖尿病リスクを高める可能性があるとされています。そのため、適量を守るようにしましょう。
後述しますが、リンゴは1日半分~1個が適量とされています。
体重管理のサポートリンゴは1個あたり159kcalと、ダイエット中に食べる食品として低カロリーとは言い難いですが、食物繊維による満腹感を得やすいため、過剰な食欲を抑えるのに役立ちます。
とくに間食や食事前に食べることで、摂取カロリーを自然に抑えることができます。
脳の健康維持リンゴに含まれるポリフェノールは、神経細胞を保護する働きがあり、認知機能をサポートする効果があるとされています。これにより、アルツハイマー病やその他の認知症リスクの軽減が期待されます。
疲労回復効果リンゴには、疲労回復を促進するクエン酸が含まれており、疲れを感じた際にリンゴを食べることで、エネルギーの回復を助けます。
また、リンゴのビタミンCやカリウムが体内のバランスを整え、全身の疲労を和らげる効果も期待できます。
リンゴは丸ごと食べた方がいい? 皮に含まれる栄養素
リンゴの皮には、食物繊維やポリフェノールといった成分が豊富です。
ポリフェノールは抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去して細胞の老化を防ぐ効果があります。また、皮に多く含まれる食物繊維は腸内の働きを促進し、消化を助ける役割があります。
そのため、嫌いでなければリンゴは皮ごと食べるのがおすすめです。皮を剝く手間もなく、ゴミも減らせて一石二鳥です。シャキシャキとした嚙み応えも増えます。
リンゴは1日何個まで?
半分から1個が適量とされています。
リンゴには果糖(フルクトース)も含まれているため、過剰摂取は肥満や肝臓への負担といったデメリットも。とくに糖分を制限している方や糖尿病の方は、食べ過ぎには注意が必要です。
あくまでバランスのよい食事を基本としたうえで、メニューの一部としてとり入れましょう。
リンゴを食べ過ぎるとどんなデメリットがある?
リンゴを食べ過ぎると、いくつかのデメリットが考えられます。
糖尿病リスクが増える可能性先述の通り、果糖は血糖値の急激な上昇を抑える効果がありますが、過剰な果糖の摂取により血糖値が上昇しやすくなり、糖尿病リスクを高める可能性があります。
肝臓への負担糖尿病リスクだけではありません。果物に含まれる果糖(フルクトース)の摂りすぎは、肝臓への負担となりやすいです。
とくにリンゴは果糖が多いため、食べ過ぎに注意が必要です。
食物繊維の摂り過ぎによる消化器官の不調また、食物繊維を摂りすぎると、消化不良や腹部膨満感、下痢などの症状を引き起こすことがあります。
昔のダイエットのときのような“リンゴだけ”食べるのではなく、食事バランスを意識しながら適量を摂取することが大切です。
加熱したリンゴと生のリンゴ、栄養価の違いは?
コンポートなどの加熱したリンゴと生のリンゴでは、栄養価に若干の違いがあります。
加熱することでビタミンCなどの熱に弱い成分は減少しますが、加熱によって吸収しやすくなる栄養素もあります。
たとえばペクチン。この食物繊維は加熱によって軟らかくなり、腸内での消化吸収がスムーズになります。また、加熱したリンゴは消化が良くなるため、胃腸が弱っているときに適しています。
すりおろしたリンゴのメリットとは
コンポートのほかに、風邪などのときにすりおろしリンゴを食べた人も多いでしょう。
すりおろしたリンゴには、消化を助ける効果があります。胃腸に負担をかけにくくなるため、体調不良で胃が弱っているときの消化不良を防ぎやすいです。
いつ食べるのがオススメ? リンゴを食べるタイミング
ここまで読んで、さっそくリンゴを食べてみようと思った人もいるのでは。そういえば、リンゴは朝・昼・夜いつ食べるのがもっともオススメなのでしょうか?
いつ食べても構いませんが、強いて言えば「朝」や「間食」です。
朝リンゴのメリット朝にリンゴを食べることで、エネルギー補給ができます。りんごの糖質(フルクトース)はゆっくりと吸収され、持続的なエネルギー供給をサポートするため、1日を元気にスタートさせる助けとなるでしょう。
また、水溶性食物繊維のペクチンが胃腸の動きを活発にして消化を助けます。腸内環境が整いやすくなり、便通改善が期待できます。
昼リンゴのメリットリンゴは食べ応えがあり腹持ちが良いため、小腹がすいた時の間食としても最適です。
夜リンゴは食べ過ぎに注意りんごは糖分が多めなので、夜にたくさん食べると、エネルギーとして消費されずに余剰な糖が脂肪に変わる可能性があります。
参考
厚生労働省e-ヘルスネット『活性酸素と酸化ストレス』
青森県りんご対策協議会
りんご大学
監修者プロフィール
大野奈穂共立女子大学家政学部食物栄養学科管理栄養士専攻を卒業後、企業や健診センターで管理栄養士として、特定保健指導業務に10年間従事する経験を有する。現在は「千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック・健診プラザ」で、健康診断や人間ドックに関連した保健指導および栄養指導を担当。特に、生活習慣病予防や健康的な体重管理に力を入れ、患者さま一人ひとりのライフスタイルに合わせた食事プランを提供。豊富な経験と専門知識を活かし、心身の健康をサポートし続けている。
https://www.kashiwa-naishikyo.com/kenshin/
<Edit:編集部>