念願のNBAの舞台に辿り着いた河村勇輝は、すでにメンフィスの街の人の心もつかんでしまったようだ。 2023年のBリーグMVP…
念願のNBAの舞台に辿り着いた河村勇輝は、すでにメンフィスの街の人の心もつかんでしまったようだ。
2023年のBリーグMVPは、公開練習でメンフィス・グリズリーズの不動のエース、ジャ・モラントと即興でダンスコラボを披露し、新人の登竜門とされるコンテストで見事優勝。そして、10月8日(現地時間7日)に開催された待望のプレシーズンマッチではダラス・マーベリックスと対戦し、第4クォーターに遂にコートへと足を踏み入れる。丁寧に一礼して臨んだアメリカでの最初のゲームでは、最初のショットでコーナーから3ポイントを成功させ、持ち前のゲームコントロールとパススキルを随所で発揮し、9分16秒の出場で5得点3アシストを記録した。
また、福岡第一高校仕込みの身長を感じさせないタフなディフェンスや、最終盤では速攻をスローダウンさせてゲームスピードを落ち着かせるなど、そのプレーはとても初戦とは思えないほど堂々たるものだった。
トレーニングキャンプからグリズリーズの初戦まで、コートの内外で好印象を残す河村は、メディアからの評価も高い。グリズリーズの情報を発信する地元メディア『Grind City Media』は、グリズリーズでシニアエディターを務めるマイケル・ウォレス氏を招待し、番組内で河村に言及。プレシーズン期間中にファンや関係者が日本の司令塔に夢中になっていることに触れられると、ウォレス氏はそれに同意するかのように河村を手放しに賞賛した。
「彼(河村)と一緒にいるのは本当に楽しく、このチャンスを生かして自分が何をもたらすべきかを理解しています。自身をコントロールする術や、チームメートへの振る舞いもそうですし、とても忍耐強いです。(試合では)臆せずに敵陣へ突っ込んでアタックを仕掛けています。5人が待ち構えるところに切り込んでいくシーンもありましたね。結局、彼のショットはブロックされましたが、そこに飛び込んでいくことを恐れていません。1週間前にトレーニングキャンプ初日の練習後にザック・イディーが言っていたとおりです。最初のスクリメージで、ユウキはイディーに突っ込んでいったのです。恐れを知らず、喜びに満ち溢れ、エネルギーに溢れたプレー。そして、NBAの舞台における最初のシュートで、コーナーから3ポイントを決めました。ベンチの仲間とその後ろにいた客席の全員が立ち上がり、その瞬間を共有していました。彼にとっては最高の瞬間だったでしょう」
NBAは身長がものをいう非情な世界である。しかし、アイザイア・トーマスやネイト・ロビンソンなど、不利や逆境を跳ね除けてきた小兵たちはいつの時代もリーグから愛され、その歴史に名を残してきた。メンフィスのコミュニティは渡邊雄太に次ぐこの日本人選手に大きな期待を抱いており、そのプレーにはSNS上でも賛辞が集まっている。
また、ウォレス氏は河村のコート外での振る舞いにも心を打たれたようだ。
「先週のトレーニングキャンプでも感銘を受けました。彼はまだ英語が流暢ではないですが、周囲の人々と良い関係を築こうという強い姿勢が見受けられ、毎日のように言語の上達に取り組んでいます。そして、アジア圏のメディアメンバーとコミュニケーションを取る前には、英語でインタビューをしてほしいと頼んでいました。彼はこれからも挑戦し、それを続けていきたいと思っています。コート上だけではなく、コート外でも彼がどんな人間なのかを物語っています。彼は間違いなくメンフィスで大きなムーブメントになります」
アメリカでも強い信念を持ち、自身を貫く河村。トップチームに帯同を続け、与えられたプレータイムで選手としての価値を証明し続けることができれば、2Way契約に昇格する可能性も十分にあるだろう。
文=Meiji
【動画】河村勇輝がアピールに成功…NBAプレシーズンゲーム初戦のプレーダイジェスト映像