■“悪魔の笑顔”比江島を煽る場面も  10月5日、「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 シーズン」B1第1節の千…

■“悪魔の笑顔”比江島を煽る場面も


 10月5日、「りそなグループ B.LEAGUE 2024-25 シーズン」B1第1節の千葉ジェッツvs宇都宮ブレックス、GAME1がLaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ東京ベイ)で行われ、千葉Jが91ー84で快勝。新アリーナでの記念すべき初公式戦を白星で飾った。

 試合は第1クォーターから大歓声を背に受ける千葉Jが26-7と大量リード。中盤以降は宇都宮に反撃を許して最大23点差が消滅し、オーバータイムまでもつれる大激戦となったが、最後はホームの千葉Jが着実にスコアを伸ばして先勝した。千葉Jは新戦力のディー・ジェイ・ホグが3本の3ポイントを含む26得点6リバウンド3スティール、Bリーグデビュー戦となった渡邊雄太が16得点8リバウンド1アシストと躍動。チームのキャプテンを務める富樫勇樹とジョン・ムーニーらも含め合計6選手が2桁得点を挙げた。

 試合後、記者会見に出席した富樫は「開幕戦ということで独特な空気があるなかで、ららアリーナ初の公式戦で勝てたことをうれしく思いますし、ただの1勝以上の価値というか、チームとして成長できた試合だったと思います」と、メモリアルゲームを総括した。

 富樫個人はオーバータイムも含め39分10秒に出場し、3ポイント7本中1本の成功にとどまったが、司令塔として8アシスト13得点を記録。プレシーズンゲームを重ねる中で少しずつ連係が深まっていることの手応えも口にしつつ、「あれだけのメンバーがいますけど、誰も20点とりたいとかそういう気持ちを持ってプレーしている選手はいないので。目の前の1勝をつかむために努力できる集まり」とチームメートを信頼。「試合内容はいろいろありますけど、勝つこと、勝ち切ることを意識して今シーズンはやっていきたいと思います」と、4年ぶりのBリーグ制覇への決意も滲ませた。

 また、この日はBリーグデビューを果たした渡邊とともに、長年日本代表のチームメートだった比江島慎と対峙。千葉Jが押せ押せムードの第1クォーターには、渡邊が比江島を振り切り鋭いドライブでアシストすれば、直後に富樫も比江島をかわしてミドルショットを成功。沸き上がるアリーナの中心で、千葉Jの背番号2が盟友の顔を覗き込むように満面の笑みを浮かべるシーンもあった。

 笑顔で比江島を“煽った”場面について、富樫は「まず色々な思いが詰まっているのかなと思います。このららアリーナでの開幕戦で、宇都宮相手にできたのがすごくうれしいと言うか。Bリーグになってからライバルとして毎年戦っているなか最初に試合ができたこともうれしかったですし、比江島選手とは代表でもやってきた中で今日プレーができた」と、この試合が持つ意味に言及。「(比江島を煽ったのは)初めてではないですけど、基本的に彼が目の前にいるときは点数を狙いにいくと決めているので(笑)。いつも目の前で決めたときは煽ってます」と、“してやったやり”のコメントも残した。

■ あんなアリーナにしたい…富樫からファンへの要望


 この“富樫vs比江島”のプレーも含め、試合序盤は怒涛の展開。試合後に比江島が「千葉側は明らかに声援に押されて波に乗っていた」と振り返った通り、クラブ史上最多入場者数となる9708人のファンが詰めかけたららアリーナが、ホームチームを猛烈にブーストする光景は圧巻だった。

 チームのキャプテンを務める富樫は、「4階席も開放して素晴らしい雰囲気の中でプレーできた」とスタンドを真っ赤に染めた千葉Jファンへの感謝を示し、「歓声も含め、ファンの皆さんの熱が年々上がっているのを感じますし、新しいアリーナができて、さらにその一個上の雰囲気をつくっていけると実感した。より良いというか、ファンの方と一緒になって素晴らしいアリーナをつくっていければ良いなと思います」ともコメント。

 今春に完成したばかりのららアリーナでの初の公式戦ということもあり、会見では何度か新ホームアリーナについての質問が飛んだなか、会見終盤には客席への“要望”とも言える言葉も飛び出した。

「日本のね、というか…。もっと全員が立つような場面があるようなアリーナにしていきたいですね。もちろんカメラを持って動画や写真を撮ってくれる人もたくさんいる中で、気を遣う場面もあるかもしれないですけど、色々なスポーツの会場に観に行って、やっぱりお客さんが自然と立ち上がってワーっとなる瞬間っていいな、と個人的に思うので、そういう試合会場、アリーナにしていきたいなと。新しいアリーナになったタイミングでもあるので、そういう雰囲気のチーム、アリーナにしていければいいなと思います」

 9年間ホームアリーナとして使用してきた船橋アリーナ同様、この日も客席にはカメラを手にするファンたちが来場。レンズを通して選手たちの一挙手一投足を追う姿があった。これまでは、こういった“推し活”ともいえる文化が、千葉JおよびBリーグの人気を後押ししてきた側面があり、富樫もそれは重々承知の上での発言だ。

「さらにその一個上の雰囲気」をつくっていきたい富樫からの“煽り”に、千葉Jファンがどのように応えていくのか。新アリーナで変わりゆく(可能性がある)客席の様子も、今シーズンの注目ポイントの一つになるかもしれない。